オーガニック(有機)認証の肉や卵とは?有機畜産物について学ぼう

本記事のテーマ(説明画像)

オーガニック(有機)のお肉や卵を調べている、あるいは購入を検討している方向けの記事です。

記事の前半で約束事がある有機畜産物の詳細について。後半では、有機畜産物の流通や入手方法などについて解説します。

✔本記事の内容

・オーガニック(有機)認証の肉や卵とは?有機畜産物について学ぼう
オーガニック(有機)認証の肉や卵とは|有機畜産物について学ぼう(説明画像)
・【データが示す】オーガニック(有機)認証のお肉や卵の入手は難しい話
【データが示す】オーガニック(有機)認証のお肉や卵の入手は難しい話(説明画像)

✔記事の信頼性

この記事を書いている僕は、オーガニックレストラン「やさいの庭 Chiisanate」を経営しています。

オーガニックと食に精通した僕が書く記事なので、記事の信頼性は高いと思います。

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オーガニック(有機)認証の肉や卵とは?有機畜産物について学ぼう

結論から言えば、放牧=オーガニックではなく、抗生物質不使用=オーガニックではありません

野菜同様に、お肉や卵にもオーガニック(有機)として、国が定めた約束事があります。

この記事で、約束事のある正規の有機畜産物について、5分でちゃちゃっと詳しくなりましょう。

・何が違う?オーガニック(有機)認証の肉や卵

オーガニック(有機)と言えるお肉や卵と、一般のそれとは何が違うのでしょうか?

この章では、正規の有機畜産物の見分け方や定義について学びます

⇒有機jasマークが必要となったお肉や卵【2020.7~】

2020.7月から、正規のオーガニック(有機)認証のお肉や卵を、有機jasマークの有無で判断できるようになります

参考:有機畜産物指定農林物資化パンフレット(農林水産省作成)

※ちなみに、記事執筆時点2020.6は有機jasマークがなくても、「有機」や「オーガニック」の表示で販売しても良いことになっています(消費者に誤解を招いています)。

例え放牧で飼育していても、例え抗生物質等の薬剤が一切不使用でも、jas認証を受けていない生産者のお肉や卵はオーガニックではありません。

有機jasマークが貼られていないお肉や卵は、「オーガニック」や「有機」の名称を表示して販売されることは、法律(jas法)で禁止されています

以下のように、罰則規定もあるんですよ~。

jas法 第七六条

次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する

有機jasマークについては、「有機jasマークがついた食品を購入前に、マークの意味や読み方を学ぼう」で詳細に解説していますので、ご参考下さい。

⇒定義があるオーガニック(有機)畜産物

有機jasマークを貼ることのできる、お肉や卵には膨大な量で細かく分類されている約束事があります。

日本の畜産農家が有機jas認証を取得し、お肉や卵に有機jas認証マークを添付することは、相当難易度が高いと言えます。

なぜなら、日本の畜産は生産性や効率性重視の産業で、以下に挙げるjasの生産基準(方法)を満たす飼育はほとんどされていないからです。

厳しいjasの生産基準(方法)の中から、具体的に例をあげると以下のような感じです。

・受精卵移植技術、組換え DNA 技術を用いて繁殖してはならない。

・家畜を野外の飼育場に自由に出入りさせ、ストレスを与える飼育をしない

・畜舎の広さは、畜種によって決められている

・餌は有機飼料を与え、化学的な処理を行っている餌は避ける

・動物用の薬に頼らない飼育が原則(病気の予防目的で抗生物質を使用しない)

このような項目を満たさないと、オーガニック(有機)卵やお肉として、有機jasマークを貼ることはできません

詳細な基準は、「有機畜産物の生産行程管理者ハンドブック」で解説されてありますので、興味のある方はご参考下さい。

安全面で言うならば一番最後に書いた、「薬に頼らない飼育」は超重要です。これは、僕たち人間にも大きく影響することだからです。

詳細は「気になる!お肉(家畜)に使う抗生物質の影響【薬が効かなくなるよ】」の中で解説しています。

・オーガニック(有機)畜産物はアニマルウェルフェアがポイント

ずばり、オーガニック(有機)畜産物の基準を満たすポイントは、「アニマルウェルフェア」です。

参考:アニマルウェルフェアを知ってる?安全な肉や卵の必須条件だよ

初めて聞いた方が多いと思うので、簡単に解説です。「アニマルウェルフェア」とは、家畜の自由を確保して飼育でストレスなく、家畜に尊厳をもった畜産の在り方です。

日本でオーガニック(有機)認証の畜産物が少ない理由は、「畜産業界にアニマルウェルフェアを取り入れていないから」だと僕は思っています。

諸外国では、家畜に配慮した飼育へシフトしていく中、日本はこの分野で大きな遅れをとっています。

参考:日本と海外のアニマルウェルフェアの現状比較【日本は超遅れてます】

要するに、今の日本の生産性や効率性を重視した工場式畜産では、有機jasの規格(基準)を満たすお肉や卵の生産は難しいと言えます。

【データが示す】オーガニック(有機)認証のお肉や卵の入手は難しい話

ここまでで、日本ではオーガニック(有機)のお肉や卵を生産するのが難しいとが分かりましたよね。

この章では、それをデータから読み解き、実際に販売されているオーガニック(有機)認証の畜産物を見てみましょう。

・有機畜産物の希少性:牛肉0.002%、鶏肉0.0018%、豚肉0%

日本でどれくらいオーガニック(有機)認証の肉や卵が少ないか、データを集めて調べてみました。

採用したのは、国の機関である「独立行政法人 消費安全技術センター」が作った資料「有機畜産物の生産状況等の概要」です。

この資料から日本のお肉や卵のオーガニック(有機)の割合を推計したのが、下表となります。僕の方で、H24のデータのみを抜き出して掲載したものです。

国内における有機畜産物の割合(平成24年度)

牛肉鶏肉生乳鶏卵豚肉

生産量(①)

514,000t1,457,000t7,607,356t2,507,000t1,295,000t

うち有機畜産物(②)

1t26t3,684t56t0t

割合(③=②/①)

0.0002%0.0018%0.0484%0.0022%0.0000%

出典:有機畜産物の生産状況等の概要より

お肉を見ると、jasに基づく正規のオーガニック(有機)の牛肉は0.002%鶏肉は0.0018%豚肉は0%になります。

お肉以外でも、生乳は0.0484%鶏卵は0.0022%と、日本のスーパーで、オーガニック(有機)のお肉や卵を手に取るのがどんなに難しいか分かると思います。

・【たった17事業者】オーガニック(有機)畜産物の生産者リスト

もっと細かなデータに踏み込みます。

今度は、Jas法に基づくオーガニック(有機)認証のお肉や卵の生産者は、どのくらいいるか調べてみました。

調べ方は、農林水産省のWEBサイトから、「認証事業者について→国内事業者一覧(令和2年6月現在)→農林物資の種類は有機畜産物で生産工程管理者」で絞り込みます。

このように抽出すると、日本国内でオーガニック(有機)のお肉や卵の生産者はわずか17事業者です。

有機畜産物認証事業者

都道府県
1津別有機酪農研究会北海道
2有限会社ワタミファーム瀬棚畜産北海道
3農業生産法人黒富士農場山梨県
4学校法人北里大学八雲牧場北海道
5公益財団法人 キープ協会山梨県
6松本のぼる(松本牧場)群馬県
7株式会社つくば鶏千葉県
8ノースプレインファーム株式会社北海道
9有限会社 大地牧場千葉県
10榛澤牧場北海道
11農事組合法人駒谷牧場北海道
12旭商事株式会社徳島県
13アルム株式会社岡山県
14一般社団法人 Agricola北海道
15農事組合法人支倉牧場生産組合北海道
16株式会社宇野牧場北海道
17トカプチ株式会社 更別農場北海道

出典:有機食品の検査認証制度(農林水産省)

表を見ると、有機畜産物認証事業者は、北海道に集中しています。

この理由は、北海道特有の広大な土地が、放牧等を可能にしてjasの基準に適合しやすいためと考えられます。

このことからも、国産のオーガニック(有機)のお肉や卵を入手するのはかなり難しいですね。

・オーガニック(有機)認証の肉や卵を探してみた

恐らく、あなたの近所のスーパーでオーガニック(有機)のお肉や卵を探すのは至難の業です。

なので、オーガニック(有機)認証のお肉や卵を買う方法を、簡単にお伝えします。

⇒【入手方法1】オーガニック専門店で購入する

オーガニック(有機)認証のお肉や卵を買う方法の1つは、オーガニック専門店で購入することです。

ネットでは、ビオ・マルシェのオンラインショップをおすすめします。

有機jas認証のみの野菜を宅配する、有名な会社なので信頼性抜群です。

実店舗では、ビオセボンがいいでしょう。

日本最大級のオーガニック専門スーパーです。僕も実際に、オーガニック(有機)認証の牛肉や牛乳を見かけたことがあります。

⇒【入手方法2】ネットを使って自分で探す

自分でネットで検索して探す方法もあります。

Amazonや楽天などで、どのようなお肉や卵があるのか調べてみました。

日本だけで絞り込むと限りがありますので、海外まで目を向けてみました。

ちなみに、海外のオーガニック(有機)畜産物も、日本同様認証制度で基準を満たしたものだけを選びましたので、興味のある方はのぞいてみて下さい。

まとめ:確かに価格は高いがあなたの考え方次第

記事のまとめに入ります。この記事で書いたことをまとめると、以下のようになります。

・正規のオーガニック(有機)認証のお肉や卵は定義があり、基準を守らないと法に基づき処罰される。

・正規のオーガニック(有機)認証のお肉や卵であるかは、有機jasマークの有無で判断できる

・オーガニック(有機)畜産物は、アニマルウェルフェアがポイントになるが、残念ながら日本の畜産には現段階で期待できない

・オーガニック(有機)畜産物自体がとても希少であることは、国が示すデータからも証明できる

・入手の方法はオーガニック専門店か、自力でネット検索でOK

 ※日本製は少ないので、海外認証のオーガニック畜産物にも目を向けてみるべき

最後に一つだけ。

国内で流通するオーガニック(有機)のお肉や卵は、価格が高くなる傾向にあります

ただし、これは考え方によって克服できる壁です。

質の高い少量の畜産物を、大切にいただけばいいだけのことです

そして、1週間に4回食べているお肉を、1回に減らすなど野菜や雑穀中心の食事に切り替えます。

こうするだけで、有機jasや海外のオーガニック認証のお肉や卵を手に取りやすくなるでしょう。

あなたが、素晴らしいオーガニック認証の畜産物に出会えることを心から願っています。

最後までお読みいただきありがとうございました。

【関連記事】

オーガニック(有機)認証の畜産ではありませんが、僕が経営するオーガニックレストランで使う、抗生物質不使用や放牧等のこだわり畜産物の紹介記事です。

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