有機野菜と無農薬野菜の違い【ずばり法律に監視されるか否かです】

本記事のテーマ(説明画像)

 

✔記事の想定読者

・有機野菜と無農薬野菜って何が違うのだろう?

・有機野菜と無農薬野菜はどちらを選べばいいのだろう?

 

本記事は上記のような疑問を抱いている、安全な野菜を探している方向けの記事です。

 

✔本記事の内容

・有機野菜と無農薬野菜の違い【ずばり法律に監視されるか否かです】

有機野菜と無農薬野菜の違い【ずばり法律に監視されるか否かです】(説明画像)

・「無農薬野菜」は使用禁止!ルールがある農産物の表示

「無農薬野菜」は使用禁止!ルールがある農産物の表示(説明画像)

 

✔記事の信頼性

この記事を書いている僕は、オーガニックレストラン「やさいの庭 Chiisanate」を経営している有機農家です。

オーガニックと食に精通した僕が書く記事なので、記事の信頼性は高いと思います。

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有機野菜と無農薬野菜の違い【ずばり法律に監視されるか否かです】

有機野菜と無農薬野菜の違いを、はっきり答えることの出来る日本人は、ほんのわずかでしょうね。

 

それくらい複雑で難しく、一般の消費者には理解しにくい有機野菜と無農薬野菜の違い。

記事では、その違いを分かりやすく解説しますネ。

 

・有機野菜とはJAS法に見張られる野菜のこと

結論はこれです。

有機野菜と呼ばれる野菜は、JAS法と言う法律によって監視される野菜のことです

 

法律によって、作り方や禁止事項、罰則などが定められています。

 

⇒有機野菜が法律で監視されるようになった理由

・うちは有機堆肥を使っているので有機野菜だ(でも、周辺の雑草には除草剤を使っているよ)

・うちは農薬を使っていないので有機野菜だ(でも、化学肥料は使っているよ)

 

これでは消費者は困りますね。

このように昔は、生産者が「この野菜は有機野菜だ」とい言えば、有機野菜と謳い販売できたのです。

 

これを問題視した国は、JAS法という法律の中で「認証を受けたものだけ有機と表示して販売していい」と決まりを作ります

 

これが有機JAS認証制度です。そして、有機JASマーク(下画像)を貼ったものでなければ、有機○○として販売できないようにしたのです。

 

消費者が誤解しないように、法律で有機野菜を定義付けたため、多くの自称有機農家は有機野菜の世界から締め出されました。

 

なぜなら、認証を受けることはとても難しいことだからです。

参考:有機JAS認証取得は難しい!【不合格した】僕が語る失敗しない方法

 

⇒【罰則あり】農家が有機野菜を無農薬野菜と言う理由

なので、国から認定を受けない農家は、今まで使っていた「有機○○」という言葉を使って、野菜を売れなくなりました。

 

代わりに使いだしたのが「無農薬野菜」です。

 

第七十六条 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する

出典:JAS法第76条の抜粋

 

JAS法には上記のような罰則があります。

「次の各号のいずれかに該当する者は」に、JASの基準を満たさず、有機〇〇と表示して販売する者などが含まれます。

 

つまり、認証受けずに有機○○と表示して販売すると、法律違反となり処罰されるのです

 

⇒【事例解説】何が違うの?消費者を惑わす2つの無農薬野菜

「有機JAS認証を受けた有機野菜」と「有機認証を受けていない無農薬野菜」とでは同じ無農薬でも、以下のような違いがあります。

 

・購入したキャベツには農薬を使っていなくても、周りの農家が使っていて付着している可能性はありますか?

 

<上記の答え>

有機野菜 :その心配は必要ありません。JASではそのようなほ場は、対策する必要があるし最悪、有機JAS認証を取得できません。

無農薬野菜:正直、生産者に確認しないと分かりません。生産者は自分が使っていないから、「無農薬」と言っている可能性があります。

 

・トマトを購入したのですが、苗の段階から一切、化学合成農薬を使っていないのですか?

 

<上記の答え>

有機野菜 :はい。一切使っていません。例え、購入したトマトの苗でも、農薬を使っていない証明ができないと、有機ほ場に植えることはできません。

無農薬野菜:正直、生産者に確認しないと分かりません。多くの農家は、購入した苗に農薬が使用されているか把握はしていません。

 

・収穫した野菜を洗う際に、薬剤等を使っていませんか?農薬を使って育てた野菜と混ざることはないですか?

 

<上記の答え>

有機野菜 :大丈夫です。混ざらないように、JASでは様々な対策をとるようになっています。

無農薬野菜:正直、生産者に確認しないと分かりません。意外と収穫後は、品質を落とさないように薬剤処理をしていたりします。

 

要するに、JASマークが貼られて販売されている有機野菜は、一般の無農薬野菜と違い、全てに責任がとれます

 

なぜなら、JASの有機野菜は法律で作り方が決まっていて、合格したもしか出荷できないからです。

 

有機野菜は、無農薬野菜と違い栽培記録付けや第三者から検査を受ける義務を負います

詳しくは、以下の2本の記事をご参考下さい。

>>【有機農家の悲痛な告白】有機野菜が危険かは記録を知って議論して!

>>【消費者は知らない】有機野菜の生産農家が本当に苦労を買う裏話

 

⇒有機野菜でも農薬を使用している場合がある

しかしです。

基本的に、有機JASは農薬の使用を禁止していますが、被害を放置しておくと重大な影響が野菜にある緊急時には、JASで定めた農薬の使用を認めています。

有機JAS認証農家にも、

 ✔有機農業の原則に則り、認められる農薬を一切使わない農家

 ✔JAS法で認められる農薬を使用する農家

 

の2パターンあることを、消費者であるあなたは知っておく必要があります。

参考:【残念】有機野菜の農薬使用はあり得る【有機JAS認証農家の本音】

 

ただ、一般の化学農薬と違うので、安全面では気にする必要はそこまでありません。

 

「無農薬野菜」は使用禁止!ルールがある農産物の表示

ここまで僕は、あえて「無農薬野菜」という言葉を使ってきました

その方が、読者が記事を読みやすいと思ったからです。

 

でも、実は、「無農薬」という言葉を使用して農産物を販売することは、以下の理由から禁止されています

豆知識として知っておいても損はないですよ^^

 

・無農薬野菜は誤解を与えるので表示はNG

結論から言えば、農産物の表示で「無農薬」や「減農薬」がダメな理由は、消費者に以下のような誤解を与えるからです。

 

<無農薬>

表示した農家は「無農薬」かもしれませんが、周りの畑から農薬が飛んできて農産物や畑の土に付着し残留しているかもしれません。

 

<減農薬>

農薬の使用回数が削減されたのか?それとも使用する量が削減されたのか?またどの程度削減されているのか?「減農薬表示」だけでは曖昧です。

 

消費者目線で考えたときに、このような誤解を招くような表示は好ましくない

そう考えた農水省は、平成16年に、「今後はこのように表示しましょう」というルールを作りました。

 

なので、「無農薬」や「減農薬」という表示ができなくなったのです。

参考:特別栽培農産物に係る表示ガイドライン

 

・無農薬野菜や減農薬野菜は「特別栽培農産物」と言う

ザックリ言えば、法律(JAS)に基づかない「自称有機」は、「特別栽培農産物」と言います。

 

簡単に言えば、「有機JASほど厳しくないが、慣行栽培よりこだわっている」農産物のことです。

 

「無農薬」や「減農薬」と表示ができないため、その代わりに以下のように表示することになっています

 

無農薬 → 農薬:栽培期間中不使用

減農薬 → 節減対象農薬:当地比〇割削減

 

直売所やスーパーで「無農薬野菜」や「減農薬野菜」の表記があれば間違っています。

豆知識として覚えておけば、役立ちますネ。

 

まとめ:安全性の説明は難しい有機野菜と無農薬野菜

この記事では、有機野菜と無農薬野菜の違いについて詳しく解説しました。

 

有機野菜=無農薬野菜ではありません

 

結局、このような違いは、生産者の考え方の違いからから生まれます。

同じ農家でも、有機JAS認証を取得しない理由や、農薬を使う理由・使わない理由は色々あるからです。

 

農家の視点から正直に言うと、「有機野菜と無農薬野菜はどちらが安全?」という議論は、あまり意味がないと思うのです。

 

大事なので、もう一度言いますね。

 

有機JAS認証野菜だから安全ではなく、農薬不使用の野菜だから安全ではありません

 

あなたにとって、世界で一番安全な野菜は、あなたが信頼している農家が作る野菜なのですから。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました

 

 

【関連記事】

それでは、有機野菜は意味がないのでしょうか?

他の野菜と比較した有機野菜の安全性を、農薬や肥料、栽培記録や第三者の検査の観点から、総合的に検討した記事です。

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