✔本記事の想定読者
・有機JAS認証に挑戦したいけど、自分にできるか不安
・経験者から有機JAS認証の取得の難しさについて、話しを聞いてみたい
この記事は、上記のような不安や悩みを抱えている方向けの記事です。
✔本記事の内容
この記事では、以下のようなことが書かれています。
✔本記事の信頼性
この記事を書いている僕は、脱サラしてから有機JAS認証を取得しましたが、1回不合格となり、取得までに2年かかりました。
失敗しながら苦労してJAS認証を取得した僕が書く記事なので、記事の信頼性は高いと思います。
この記事の目次
有機JAS認証取得は難しい!【僕の失敗談】
結論から言えば、有機JAS認証の取得は、「基本を押さえていないと難しい」です。
・難しい有機JAS【僕は書類審査で不合格になりました】
僕は、基本を押さえていなかったので、有機JAS認証取得は難しかったです。
そのため、有機JAS認証の取得を考えてから実際に取得するまでに、2年以上かかっています。
✔2017年:有機JAS認証取得に向けて、畑の有機的な管理を始める
✔2018年:有機JAS認証の申請→書類審査で不合格
✔2019年:有機JAS認証の取得(※1年後の再申請で合格)
上記が、僕が有機JAS認証を取得するまでの時間的な経過です。
⇒自己流有機農業が招いた不合格
上記で僕の有機JAS認証の取得の経緯を見ると、2018年に書類審査で不合格なっています。
・申請までに農薬や化学肥料は使っていません
・JASで定められる記録付けをしました(いつ、どこで、どんな管理をしたか等)
・申請書類も、定められたものを漏れなく全て記載し提出しました
このように、自分の中では完璧なはずでした。それなのに、不合格になった理由は、自己流有機農業だったからです。
僕は日々の管理の中で、化学農薬の代わりに自家製の唐辛子スプレーを使っていました。
自分で育てた唐辛子を焼酎に漬け込み、それを野菜の葉や果実に散布して害虫防除していたのです。
実は、焼酎には製造過程で発酵助成剤という、化学的な物質が添加されていて、僕は知らずに使っていました。
つまり、化学的な物質が入った焼酎漬け唐辛子の液体を、自分の畑に散布したので不合格になったのです。
このことは申請時に提出した栽培記録から、書類審査で発見されました。
有機JAS規格に基づかない、自己流有機農業が招いた悲劇でした。
⇒有機JASの理解不足は認証取得に時間がかかる
一時期、虫の被害がひどくて農薬が使えないので、ネットでググると「自家製唐辛子スプレー」は環境にやさしいと紹介されていました。
僕は、ネットの情報を鵜呑みにしてキャベツや大根など数品目に、数回使っただけです。
たったこれだけで不合格となり、次の申請は1年後になるのです。
※有機JAS認証の取得は、日々の管理の積み重ねが重要で、最低1年間は再度申請できません(転換期間中有機申請の場合)。
僕は、小難しい有機JAS規格の理解を避け、ネットで簡単に情報収集する方に逃げました。
結果、そのときは簡単に答えがでますが、有機JAS認証取得までに大幅な時間がかかり遠回りしました。
⇒僕は有機JAS認証の本質を見誤っていた
有機JASでは申請に、膨大な資料を準備する必要があります。
僕は、取得までの流れや提出する書類のことばかり考えていました。畑では、「化学肥料と農薬さえ使わなければいい」と・・
単に流れに沿って、機械的に申請書類を準備して提出するだけでは、有機JAS認証の取得は難しいのです。
有機JASの本質は、申請書類を卒なく提出することではありません。
大事なのは、有機JAS規格を理解してそれに基づいた管理が、日々、ほ場で行われているかです。
有機JAS認証取得で失敗を避ける方法【知れば難易度が下がります】
記事を読んでくれているあなたには、僕のような失敗はして欲しくありません。そのためには、以下の3つのことを覚えておいて下さい。
・有機農業の原理原則を理解する
「有機JASでも使用できる農薬や化学肥料がある」⇒「だから、有機JASは意味がない」。
このように、有機農業を否定する方がいます。前半は確かに正しいですが、後半は間違っていますね。
有機JAS規格第2条には、以下のような目的と方法が規定されています。
目的:農業の自然循環機能の維持増進を図ること
方法:化学的に合成された肥料及び農薬の使用を避けることを基本とする
そうなんです。基本は、農薬や肥料は使っちゃいけないのです。
僕は、ここを理解せず、自家製の唐辛子スプレーなら化学農薬ではないので大丈夫と自己判断して散布しました。
でも、自然生態系の中で一部の害虫を駆除するという自分勝手な農業ですよね。
有機JASの目的である、「農業の自然循環機能の維持増進を図ること」に反しています。
有機JASを簡単に取得する方法を、一言で言いますね。
ホント、これにつきます。「余計なこと」とは、農薬や肥料を使って自然に発生した結果を捻じ曲げようとすることです。
・【最重要】迷ったら認証機関へ確認【自己判断しない】
とはいえ、放っておけば農産物が確実に全滅する可能性がある場合もあります。
実は、このような原因を作るのも生産者自身なのです。
肥料が多すぎ、密植しすぎ、連作しすぎ・・・生産性主義に陥っている農家は、その罰として自然界から警告を受けます。
本来であれば、甘んじてその罰を受け入れるべきです。しかし、僕ら農家は収入がなくなっては生活できません。
なので、有機JASでは、どうしても仕方がないときだけ、有機JASで認められた農薬や肥料を使うことができます。詳細は以下の記事を参考にして下さい。
>>【問題あり】有機JASの危険な有機肥料:有機JASの安全性と肥料の話
>>【残念】有機JASは無農薬ではありません:有機JASの安全性と農薬の話
但し、これらを使う時には必ず、あなたが申請書を提出する認定機関に問い合わせて使用していいのか確認をして下さい。
やっちゃいけない事は、自己判断して認められていない資材を使う事です。
僕は、認証機関に確認をせずに一年棒に振ってしまいました。僕のような失敗はしないで下さいね。
・有機JAS認証を取得する目的を明確にする
有機JAS認証を取得する前に、取得する目的をはっきりさせておいた方がいいです。
なぜなら、有機JASは一般の農家と違い、苦しいことが多いからです。取得までの過程や、取得してからも、心が折れてしまう農家がたくさんいます。
「なぜ、あなたは有機JASを取得しよう」と思ったのですか?
この問いに対して、以下のような答えであれば、もう一度、取得の目的を考え直した方がいいかもです。
・他の農産物と付加価値を付けて高く売りたいから
・有機JAS認証(JASマーク)を取得すると他と差別化されるから
・知り合いや取引先にススメられたから
なぜなら、取得目的がこのような理由だと仮に有機JAS認証を取得しても、思うように結果が出ずに挫折するからです。
もうちょい深掘りします。なぜ、思うように結果が出ずに挫折するのか?
それは、有機JASに加えて夢やストーリー性がある農産物でないと消費者がファンになってくれないからです。
上記の理由は、全て消費者目線ではなく、自分の「売りたい」という欲求です。
大事なことは、なぜ、あなたが有機JAS認証を取得しようと思ったのか?その物語をお客様に理解してもらうことなのです。
決して、有機JAS認証を取得することが目的になってはいけません。
まとめ:有機JAS認証取得は自分で難しくしている
大事なことなので、もう一度言いますね。有機JASを簡単に取得する方法です。
自然に逆らって農薬や肥料を使うので、自然界からも認証機関からも睨まれて取得が難しくなります。
全て、自分が有機JAS認証の取得を難しくしているのです。
以下の記事で、有機JAS認証取得までの詳細な手順を解説しています。初めて有機JAS認証に挑戦する方は、かなり参考になると思います。
>>【完全ロードマップ】有機JAS認証の取り方:農家が手順を徹底解説
有機農業の原則を押さえた上で日々の生産活動に従事し、有機JASに挑戦してみて下さい。
きっと、ここまで読んでくれた真面目なあなたなら簡単に取得できるはずです。
頑張って下さい。応援しています。
==追伸==
あなたが、この記事を読んでもっと有機JAS認証取得に関する情報が欲しい!と思ったら、以下の3本の記事もご参考下さい。
✓【無料&初心者歓迎】宮崎県美郷町で有機農業の研修と田舎体験>>
✓【完全ロードマップ】有機JAS認証の取り方:農家が手順を徹底解説
もし、あなたがJAS認証取得で悩みや不安があるときは、以下のようなコミュニティもありますので、のぞいてみませんか?
きっと、同じ仲間が見つかるはずです。