【残念】有機野菜の農薬使用はあり得る【有機JAS認証農家の本音】

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✓本記事の想定読者

・有機(JAS)野菜は農薬を使っているって本当なの?

・有機(JAS)野菜で使用している農薬は安全なの?

・有機JASで農薬が認められているのなら、有機JASの農産物を選ぶのは無意味なの?

本記事では上記のような疑問を抱いている、有機野菜の安全性について調べている方向けの記事です。

✓本記事の内容

この記事には、以下のようなことが書かれています。

・【残念】有機野菜の農薬使用はあり得る
【残念】有機野菜の農薬使用はあり得る(説明画像)
・有機(JAS)野菜に使用される農薬は安全なのか【問題ないがリスクもある】
有機(JAS)野菜に使用される農薬は安全なのか【問題ないがリスクもある】(説明画像)
・有機JAS検査員として有機野菜の農薬を語る
有機JAS検査員として有機野菜の農薬を語る(説明画像)

✔記事の信頼性

この記事を書いている僕は、オーガニックレストラン「やさいの庭 Chiisanate」を経営している有機JAS認証農家です。

オーガニックと食に精通した僕が書く記事なので、記事の信頼性は高いと思います。

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【残念】有機野菜の農薬使用はあり得る

「有機野菜は無農薬」と信じて、このサイトにたどり着いたあなたに残念なお知らです。

有機JASの野菜は条件付きで、農薬の使用が認められています

 

なお、この記事で言う「有機野菜」とは、有機JASマークが付いた正規の有機野菜のことです。

 

有機野菜と無農薬野菜の違いが分からない方は、以下の記事を読んで戻ってくると、理解が深まると思います。

>>有機野菜と無農薬野菜の違い【ずばり法律に監視されるか否かです】

 

・有機JASでは農薬の使用は認めない【原則3つで病害虫を回避】

「有機野菜(有機JAS認証野菜)は農薬を使っていいので無意味だ」。

有機JASを否定する方の、よくある意見です。

 

でも、有機JASでは無条件に農薬使用を認めている訳ではありません

有機農業の大原則は、農薬を使用せず、耕種的防除、物理的防除、生物的防除の3つの病害虫対策を行うことです。

 

⇒【方法1】耕種的に防除する方法

例えば、キャベツばかり作るキャベツ畑では、キャベツを好む害虫や土壌病原菌ばかりになってしまいます。

なので、キャベツの隣にレタスや人参、ねぎなど様々な野菜を作って妨害虫からの被害を防ぎます。

 

耕種的防除は、単一の同じ野菜ばかり作らずに、色んな野菜を少しずつ作ることですね。

 

⇒【方法2】物理的に防除する方法

農薬ではなく、資材などを使って病害虫を物理的に死滅させる方法です。

例えば、粘着テープ(害虫がおびき寄せられテープに引っ掛かる)や、種をお湯につけて表面についた病原菌を熱で死滅させるなどです。

 

⇒【方法3】生物的に防除する方法

畑の中で病害虫の天敵を増やしたり、植物を植えたりして病害虫の密度を下げる方法です。

例えば、「土壌の中のセンチュウが嫌いなマリーゴールドを畑に植える」、「野鳥が止まる場所を準備して食害する虫を食べてもらう」などがそうです。

 

有機JASでは基本的にこの3つを上手く利用して、農薬を使用しない農業を定めています

決して、無条件に農薬を使うことを認めている訳ではないのです。

 

 

・有機野菜が特別にやばいときは農薬を使っていい!

ところが、有機JASでは絶対に農薬使用を認めない」というスタンスではありません

 

✓耕種的防除、物理的防除、生物的防除の3つの防除以外で基本的に農薬の使用を認めません

✓ただ、作っている農産物が病害虫の被害に遭いヤバい状態で、この3つの防除をしても効果がない場合にだけ、別表2に書いてある農薬は使用しても大丈夫です

別表2に書かれてある農薬はいつも使っていい訳ではなく、近くの畑や自分のほ場で実際に被害が発生するか、経験によって発生が予測され、放っておくと農作物がヤバい状態になる場合だけ使用して下さい。

分かりやすく解説すると、上記のような感じですね。

畑がどうしようもないくらいヤバい状態のときは、農薬使用を認めているのです。

有機野菜に使用される農薬は安全なのか【問題ないがリスクもある】

この別表2で認められた、有機JASで使用がOKな農薬は安全なのか?

あなたが一番気になるところだと思います。

・有機野菜に使用される農薬は化学農薬とは別物

結論から言えば、「天然由来や微生物由来の農薬なので、化学農薬のような危険性はない」でしょう。

但し、殺菌性や殺虫性が高いものもあり、その効果は化学農薬とさほど変わらないこともあります

・認められた農薬もリスクあり【農薬の注意書きから学ぶ】

まぁ、農薬なのでリスクがゼロなんてあり得ません。

有機JASで認めている「石灰・硫黄合剤」を例に挙げてみましょう

「石灰・硫黄合剤」は、無機硫黄材で殺菌作用があります。

この製品の注意書きには、以下のようなことが書いてあります。

・本剤は強アルカリ性のため、取扱には十分注意する。特に皮膚、眼などをおかしやすいので皮膚にふれないように、又、眼に入れないよう十分注意する。

・街路、公園等で使用する場合は、散布中及び散布後(少なくとも散布当日)に小児や散布に関係ない者が散布区域に立ち入らないように縄囲いや立て札を立てるなど配慮し、人畜等に被害を及ぼさないよう注意を払う。

・薬剤が直接皮膚につき、そのまま放置すると炎症を起こすことがあります。直接皮膚に触れた場合は、直ちに石鹸で洗う。

・散布液調整時、又散布中はマスク、不浸透性手袋、メガネ、長ズボン、長袖の作業衣などを着用する。

つまり、有機JASで使用が認められている比較的危険性が少ない農薬でも、このような仰々しい注意書きがあるのです。

そもそも、自然と調和しながら行う農業に、人間でも注意が必要な農薬使用が必要なのか

有機農業をしている僕は、疑問に思ってしまいます。

有機JAS検査員として有機野菜の農薬を語る

ここまで見て、あなたはやっぱり有機野菜(有機JAS野菜)も農薬をつかっているのなら、意味がない思うかもしれません。

しかし、記事を最後まで読んでご判断下さい。

実は僕、有機JAS認証ほ場の検査も行っています

日々、様々な有機農家のほ場を検査している立場から、有機野菜の農薬について話します。

・「有機野菜=意味がない」は短絡的

大事なので繰り返しますが、有機JASは、始めから無条件に農薬の使用を認めている訳ではありません

仮に、JASで認められた農薬を使用したとしても、いつ、どのほ場で、誰が、何の野菜に、どのくらい散布したかを記録する義務があります

また、使用の前には、自己判断せずに認証団体に確認をとるなど細かな対応が求められます

・実は認められる農薬は、ほとんど使用していない

ここが最も重要なのですが、「有機=オーガニック」の本質を理解して、使用が認められていても農薬を一切使わない有機JAS認証農家の方が圧倒的に多いです。

「有機(JAS)野菜は、農薬を使うので意味がない!」と多くの記事で叩かれますが、これは、現場を知らない方が言っている場合が多いです。

僕は有機農家でもあり有機JASの検査員でもあるため、現場にはとても精通しています。

そんな僕が見ても、消費者の安全面を第一に考えている、本物の有機農家が非常に多いです。

まとめ:大事なのは有機野菜ではなく生産者

今日のおさらいです。

以下のことを覚えておけば、あなたも有機野菜の農薬使用について正しい理解ができます。

・有機JASは原則、農薬を使用しないことを生産者に指示している。

・ただし、有機JASは特別にやばいときに農薬使用を認めている。

・有機JASで使用が認められる農薬は化学農薬と比べて安全性は高いが、「安全か?」と言われたら、自信を持ってYESと答えることは出来ない。

・認められた農薬を使っていない有機農家の方が、圧倒的に多い。

大事なのは、「有機野菜であるか」ではなく、「どんな生産者が作ったか」です。

有機JAS認証を取得しなくても、安全な野菜を作る有機農家はたくさんいます。

彼らが、なぜ、農薬や化学肥料を使用しない有機野菜を作るのか?その理由が大事なのです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

【ちょっと宣伝】

記事を書いた僕も有機JAS認証を取得している農家で、有機農業の原則を理解して野菜を生産しています。

全国に発送もしていますので、興味があればご覧ください。

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