本記事はサラダ油、キャノーラ油、菜種油など食用油全般を分かりやすく解説する記事です。
✔本記事のテーマ
✔本記事の内容
・サラダ油とは?植物油数種をブレンドした混合物 |
・キャノーラ油とは何か?菜種油やサラダ油との違い |
・【余談:でも重要】食用油の種類や違いを知る |
この記事を書いている僕は、オーガニックレストラン「やさいの庭 Chiisanate」を経営しています。
オーガニックと食に精通した者が書く記事なので、記事の信頼性は高いです。
この記事の目次
サラダ油とは?植物油数種をブレンドした混合物
サラダ油を理解するためには、食用油全般が頭に入っている必要があります。
なぜなら、サラダ油は食用油の中に含まれる一部の油だからです。
・サラダ油を理解するには食用油全般を知る
食用油について誰でもすぐに自分が使っている油がどこに位置するのか分かるように、下画像のような表を作成しました。
食用油と言われるものは、こんなにたくさんの種類があります。
「自分が使っている食用油はどこに分類されるか」。まずはここから理解する必要がありますね。
・サラダ油とは何か?特徴や安全性を考える
表を見てもサラダ油はでてきません。実は、サラダ油とは、表中の植物油をブレンドした混合物です。
サラダ油は、日本が開発した独自の油で、主にオメガ6系の植物油を高度に化学的に精製したものです。
サラダ油の定義は日本農林規格(JAS)で定められています。
原材料は表中にある赤枠内で黄色ハッチの菜種、綿実、大豆、ごま、ひまわり、とうもろこし、紅花、ひまわり、米(米糠)、落花生などです。
※2種類以上の原料を混ぜた油は「調合サラダ油」と呼ばれます。
サラダ油はこの9種類の植物油とこれらをブレンドした混合物です。分かりやすく示すと下画像のようになります。
スーパーでよく見かけるサラダ油の多くは、大豆と菜種の混合物となっています。
揚げ物や炒めものの他、その名前のとおりドレッシングとして使われることもあります。
⇒サラダ油は精製度が高いため作物の風味がない
サラダ油は原材料にあるような大豆やごま、とうもろこし等の作物の風味が一切しません。
理由は、ヘキサンやカセイソーダなどの化学物質を使い、多くの工程を経て化学的に作られる精製度の極めて高い油だからです。
ちなみに精製度が低い油からエキストラバージンオイル→半精製油→精製油→サラダ油となります(右に向かっていくにつれて精製度は高くなる)。
そして、精製度が低い油ほど、原料本来の香りや風味が強くなります(逆に言うと、サラダ油など右に行くほど作物本来の香りや風味は弱くなる)。
サラダ油の謳い文句となっている「油っこくない」や「さらっと軽い」は、聞こえがいいですが、多重な化学処理をされ高温にさらされた結果です。
このため、私個人の意見になりますが、サラダ油は、原料から感じられる油本来の個性は完全に失われています。
⇒サラダ油の安全性には疑問符か?
さらに、多くの化学的処理や高温処理によって、有害物質の残留や発生が懸念されているのもサラダ油ということを申し添えておきます。
以下の記事に、食用油の安全性の話をまとめています。興味ある方はご参考ください。
キャノーラ油とは何か?菜種油やサラダ油との違い
言葉で書いても分かりにくいので、とりあえず下表を見て下さい。
不飽和脂肪酸の中でオメガ9(オレイン酸)の植物性油の中に、キャノーラ油があります。しかもよく見ると、菜種油の枠の中に収まっています。
実は、キャノーラ油と呼ばれる油は菜種油の一種です。
・キャノーラ油と菜種油の違い
結論から言えば、キャノーラ油と菜種油の違いは、菜種油に使う菜種の品種と、キャノーラ油に使う菜種の品種が異なるだけです。
一般の菜種油の菜種は、「エルカ酸(エルシン酸)」と「グルコシノレート」と言って、過剰摂取が健康への害を及ぼすことが指摘されています。
その2つの成分を極力減らすように開発されたのがキャノーラ種と言い、キャノーラ油の原料となる菜種なのです。
・キャノーラ油とサラダ油の違い
サラダ油との違いは、キャノーラ油は、オメガ9脂肪系脂肪酸(オレイン酸)なので、悪玉コレステロール濃度を下げること、動脈硬化や心臓病などを防いでくれます。
また、体の酸化を防いでくれることなど、健康的効果から優れていることです。
化学的な処理や高温処理が多く、安価で大量生産でき、何かと問題の多いサラダ油よりかは、キャノーラ油の方が体に良さそうですね。
【余談:でも重要】食用油の種類や違いを知る
記事のメインテーマであるサラダ油やキャノーラ油の話は以上です。
ここからは余談ですが、食用油について理解しておくべき必須の情報なので、是非ご覧ください。
油を考えるときに大切なことは、油の主成分となる脂肪酸の種類を知っておく必要があります。
大きく、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の2つに分けられます(下画像)。
・飽和脂肪酸を理解しよう
飽和脂肪酸は、常温で固体であるものです。
表にあるようにバターやラードなどの動物性油がメインですが、中にはココナッツ油のように植物性油も存在します。
飽和脂肪酸は私達にとって重要なエネルギー源になりますが、体内でも固まりやすいので、他の油より体脂肪になりやすい性質があります。
現代人はお肉や動物系の油をたくさん摂る傾向にあり、動脈硬化や脳梗塞などの生活習慣病を避けるため、飽和脂肪酸の過剰摂取は要注意です。
・不飽和脂肪酸を理解しよう
不飽和脂肪酸は、常温で液体のものです。
表を見ると、その多くが植物性油ですが、イワシやサバ、サンマなどの青魚油のように動物性が含まれる場合もあります。
エネルギー源や身体の構成成分となるほか、血中の中性脂肪やコレステロールの量の調節を助ける働きがあります。
また一部の不飽和脂肪酸には、脳神経の発達やアレルギー症状の緩和を助けるなど、ほかの脂肪酸にはない有効な働きがあります。
不飽和脂肪酸は以下の3つに細分化できます。
⇒オメガ3系脂肪酸
この脂肪酸は体内で作ることが出来ないため、必須脂肪酸と呼ばれ体外から摂取する必要があります。
代表的な脂肪酸にαリノレン酸がありますが、サバ、サンマなどの青魚に代表される魚油、えごま油、亜麻仁油、しそ油などで補うことができます。
昔ほど魚を食べなくなったせいか、最近、日本人には不足気味と気味と言われている脂肪酸です。
動脈硬化を防いでくれたり、心臓病や脳卒中リスクも下げてくれることから是非摂取して欲しい油です。
⇒オメガ6系脂肪酸
オメガ3系脂肪酸と同様に、オメガ6系脂肪酸も体内で作ることが出来ないため、必須脂肪酸と呼ばれ体外から摂取する必要があります。
代表的な脂肪酸としてはリノール酸があり大豆油や胡麻油、コーン油やひまわり油から摂取可能です。
「血中のコレステロール濃度を下げる」と言われるオメガ6系脂肪酸ですが、表中にも書いてあるとおり、摂り過ぎには注意が必要です。
なぜなら、オメガ6系脂肪酸はお菓子やパン、マヨネーズやカップ麺、ファーストフードや惣菜などの加工食品に多く含まれ、私達は知らない間に過剰摂取している可能性があるためです。
⇒オメガ9系脂肪酸
オメガ9系の代表的な脂肪酸はオレイン酸がありますが、オメガ3系脂肪酸、オメガ6系脂肪酸とは違い体内で合成することができます(必須脂肪酸ではありません)。
血中の善玉コレステロールはそのままで、悪玉コレステロール濃度を下げると言効能があります。
オリーブオイル、ピーナッツ油、なたね油などから摂取可能です。
まとめ
油は三大栄養素の一つなので、どの油が最も優れているということではなく、摂取するバランスを意識することが大切です。
もし、あなたが油選びで迷ったことがあれば、記事に出てきた食用油の分類表を思い出して下さい。
今日は、油全般の総論についてお話しましたが、製造工程や原材料で知っておくべき食用油の各論は、以下の記事でまとめています。
興味のある方はご覧ください。
⇒⇒安全な食用油を見分ける3つの着眼点【抽出法と原材料が重要です】
最後までお読みいただき、ありがとうございました。