なぜ日本はオーガニック後進国なのか?【3つの理由を体験から語る】

・日本はオーガニック後進国ってよく聞くけど本当なの?具体的なデータで説明して欲しい

・日本でオーガニックがメジャーにならない理由は何なの?

・日本がオーガニック後進国を脱却するためには、どうすればいいの?

 

日本の食は安全・安心と言われているのに、なぜかよく聞く日本のオーガニック後進国説

多くの消費者は疑問でしかないと思います。

 

この記事を書いている僕は、

・オーガニックレストラン「やさいの庭Chiisanate」の経営者

・有機JAS認証農家 兼 有機JASの検査員

など一般の方よりオーガニック事情に精通しています。

 

この記事では、そんな僕が、オーガニック後進国である日本において、オーガニックが普及しない理由を実体験から解説するものです。

 

記事を読めば、他では知ることの出来ない日本がオーガニック後進国である3つの理由と、実際に現場で目にしたオーガニックのリアルな事情を知ることができるでしょう。

 

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なぜ日本はオーガニック後進国なのか?

世間で言われている日本のオーガニック後進国説は、紛れもない事実です。

・諸データで日本のオーガニック後進国ぶりを見てみよう!

言葉で「日本はオーガニック後進国」と言っても説得力にかけるので、以下、サクッと図表を載せておきます。

図表は農水省が調べてくれているので、引用させてもらいました。

 

⇒世界のオーガニック食品の売上は右肩上がり

世界のオーガニック食品売上の推移(表)

出典:有機農業をめぐる事情(R2.2 農林水産省)

 

とりあえず、世界のオーガニック食品の伸びを見てみましょう。

日本にいると実感ゼロですが、いやー、ホントすごいですね。

 

20年以上前から有機食品の売上は右肩上がりで伸びていますね。ちなみに「オーガニック=有機」と解釈して下さいね。

 

⇒国別1人あたりのオーガニック食品消費額

国別1人あたりの年間有機食品消費額(表)

出典:有機農業をめぐる事情(R2.2 農林水産省)

 

欧州やアメリカはさすがですね。

1人当たりのオーガニック食品消費量は、日本と比較して半端ないことが分かると思います。

 

⇒有機農業の取り組み面積割合

耕地面積に対する有機農業取り組み面積と面積割合(表)

出典:有機農業をめぐる事情(R2.2 農林水産省)

 

耕地面積に対する有機農業の取り組み面積割合は、日本は1%にも至っていません。

日本人が「危険な食品を作る国」と思っている中国より低い状況です。

日本の皆さん、中国を馬鹿にはできませんよ。

 

・【経験談】日本がオーガニック後進国である3つの理由

掲載したデータだけで、日本のオーガニック後進国を言うつもりはありません。

 

ですが、オーガニックに係る仕事をしている自分から見ても、確かに日本はオーガニック後進国と実感することが多いですね。

 

極論、「オーガニックの必要性を感じていない」が、日本がオーガニック後進国である答えだと思います。

ではなぜ、他国とは異なり、日本は「必要性を感じないのか?」。

以下、深堀りしていきます。

 

⇒理由1:学校教育がオーガニックに触れていない

先日、僕は、以下のようなツイートをしました。

 

息子が学校から持って帰ってきたテスト問題。

その中にあった、農家の仕事の工夫の一つに「薬をまく」とあったことには驚きでしたw

 

誰もが等しく受ける義務教育がこんな状態です。

ちょっとでも、学校でオーガニックの本質について学んで欲しいですね。

 

2021年から、お隣の韓国ではソウルのすべての小・中・高校で「オーガニック無償給食」が全面施行されます。

参考:2021年からソウル市内すべての小・中・高校で“オーガニック無償給食”施行

 

フランスでは、2018年から学校給食など公共食堂で使用する食材のうち最低でも2割を、オーガニックにする法律が成立しています。

こんな感じで学校の中で子供が自然に、オーガニックに興味を持つ環境が整えることが大切です。

 

⇒理由2:行政や農業団体がオーガニックに本気でない

僕は以前、農業系の公務員をしていました。超つまらなかったので辞めましたが・・・

9年間、農水省や県、市町村やJAなど様々な方と働きましたが、オーガニックなんて言葉はほぼ聞いたことがありません

 

そりゃー、農水省や県にもオーガニックを推進する部局はありますが、マイナー分野過ぎて熱の入れ方が他の分野とは全く違うのです。

 

つまり、オーガニック分野は、他と比べて予算(お金)がつかないということです。

予算の付き方は、発信力の脆弱さや省内・部局内のパワーバランスにも関わってきます。

 

なので、行政(公務員)は誰からも見向きもされないオーガニックに関する仕事を細々とこなしているだけですね。

 

一方、JAなどの農業団体は、オーガニックを普及させたくないのが本音でしょうね。

なぜなら、JAの裏の顔は、化学肥料や化学農薬の販売実績が国内トップクラスの総合商社だからです。

 

そしてたちの悪いことに、JAは政治的な圧力団体です。

国会議員などはJA票で当選する方もいるので、オーガニックなどJAに不利になる政策は推進するはずがありませんよね。

 

⇒理由3:国産安全説に洗脳される消費者

日本がオーガニック後進国である3つ目の理由は、消費者が無知であることですね。

無知というよりメディアに責任があります。

 

見てると、報道や記事の取り上げ方が明らかにおかしい。なので、メディアに洗脳されている多くの消費者のために、これだけは、はっきりと言っておきます。

 

日本食品はあなたが思っているほど、安全安心ではありません

 

先程、中国の耕地面積に対する有機農業の面積割合の図を掲載しました。

中国はオーガニックに関して、日本より熱心に見えるでしょ。メディアは決してそんなこと報道しませんので・・・

 

報道する(取り上げる)のは中国食品の危険性と、国産が安全安心であることばかり。しかし、これもはっきりと言っておきます。

メディアに騙されないで下さい。

 

中国食品は世間に流布しているほど、危険ななものではありません

参考:中国産食品は安全か?的を得ない中国批判と無視される国産食品の危険性

 

これだけ国産安全神話がまかり通り、便利に不自由なく暮らすことができれば、「オーガニックを生活に取り入れる必要性」を感じなくて当たり前です。

 

3つの視点から眺めた日本のオーガニック事情

僕の肩書は、①オーガニックレストランの経営者、②有機JAS認証農家、③有機JASの検査員です。

3つの現場から、日々、オーガニックを見てきて感じたことを軽く書いておきますね。

 

・オーガニックレストラン経営者として感じる日本のオーガニック

レストランを経営して感じていることは、中間層がいない明確な2極化ですね。

 

僕が作った有機野菜をレストランで提供していたのですが、綺麗に食べるお客様と、全く料理に手がつかないお客様の2パターンしかいないのです。

 

うちの料理は有機野菜ばかりで、添加物が一切入っていない薄味のオーガニック料理です。

日々、この手の料理に食べ慣れていない方は全く美味しく感じないのでしょう。

つまり、普段食べるものが2極化しているのです。

 

若いお母さん方に多いですが、オーガニックをおしゃれで格好いいなど、ファッション感覚で捉えていますね(それが悪いとは言いません)。

お客様を観察すると、日々、家庭でどのようなものを食べているか、ある程度推察できるようになってしまいましたw

 

・有機農家として感じる日本のオーガニック

有機農家としては、オーガニックを消費者に中々理解してもらいえない「もどかしさ」がありますね。

 

肥料や農薬を使う慣行農業と比べて、有機農業は圧倒的に難しいです。

なぜなら、市場が求める農産物を作ることが難しいからです。

 

市場が求める農産物とは、安くて、ボリュームがあって、いつでも販売してある農産物です。

基本的に小さい面積で大型機械を使わないため効率は悪いですし、肥料や農薬等で成長をコントロールすることも出来ません。

 

このため、一般の農産物よりどうしてもコスト高になります。でもそでは、消費者は買ってくれませんよね。

なので、自然農でも有機JAS認証でも有機農家の多くは、あなたのような熱心なお客様に直接お野菜を販売しています

 

・有機JAS検査員として感じる日本のオーガニック

JASの検査員としてオーガニックを見ると、ちょっと複雑ですね。

実は、日本でオーガニックが普及しない理由の一つに、有機JAS認証制度があります

 

とにかくJAS認証取得には、かなりのお金と労力がかかるのえ、多くの農家がJASの認証取得を避けるのです。

>>【消費者は知らない】有機野菜の生産農家が本当に苦労を買う裏話

 

有機JAS認証を取得する理由は人によって様々です。

 

・自分の農産物に国のお墨付きを受けて国内外に出荷したい

・自分は嫌だが、取引先が有機JAS認証を求めてくるので仕方なく

・自分の野菜に付加価値を与え、お客様に信頼して欲しい

 

などです。

検査員として認証事業者を見ると、「オーガニックを広めたい」というより、個々の目指す方向性で認証取得の理由が代わってきます

 

日本がオーガニック後進国を脱却するために私が出来ること

日本がオーガニック後進国である理由は、一つに限らず様々な理由があります。

 

日本がオーガニック後進国を脱却するためには、各それぞれが、与えられた役割をしっかり果たすことです。

 

✓現場を知っている僕は、このようなブログ等でオーガニックに関する情報発信を行う

 

✓あなたは、消費者としてオーガニックの本質を理解し、出来ることから始める

※例えば、普段の買い物でオーガニック食品を選ぶことや、この記事のSNS拡散なども一つの行動ですね。

 

オーガニックの本質を勉強したい方は、以下の記事で詳細に解説しています。

>>【意味は深い】オーガニックとは簡単に言うと「幸せになる仕組み」

 

✓公務員はオーガニックに真面目に取り組み(予算をつけ)オーガニックを国として進める。=国産食品の安全性を、国民目線で真剣に考えた政策を立案する。

 

一気に脱却はできないかもですが、それぞれの責任ある行動が未来のオーガニック大国日本を育てるはずです。

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