✔記事の想定読者
・「いただきます」の意味を、食育でどう教えればいいのかな?
・「いただきます」の意味を、食育で教える意義や事例を知りたい
この記事は、上記のような疑問を抱いている方向けの記事です。
✔本記事の内容
この記事では、以下のようなことが書かれています。
・「いただきます」の意味を考える食育は大人にも必要
・「実際に命をいただいく食育」を開催した結果
・「いただきます」の食育をエシカル消費の教育と考えよう
✔記事の信頼性
この記事を書いている僕は、オーガニックレストラン「やさいの庭 Chiisanate」を経営しています。
オーガニックと食に精通した僕が書く記事なので、記事の信頼性は高いと思います。
僕は先日に、以下のようなツイートをしました。
「いただきます」
— yoshiki / 安全な食への案内人 (@chiisanate_0609) June 24, 2020
この言葉の意味って大きいと思う。
家族で食卓に並べられる料理に向かって、
手を合わせる。
このときの食材は、お野菜、お肉、
お魚など命のあるものになっているかが重要。
サプリメントや菓子パンに向かって「いただきます」と言う?
僕らは「命をいただいて生きている」。
理由は最近、「いただきます」の意味を本当に理解しているのか?
と疑問に思うことが多いからです。
この記事の目次
「いただきます」の意味を考える食育は大人にも必要
オーガニックレストンを経営していて日々感じることは、食べ残しの多さ。これは、子供というより大人の方に多いです。
「子供に食育を」と考えている大人が多いのですが、まずは、大人から「いただきます」の本当の意味を理解する必要性を感じるのです。
・【ちょい残念】大人が「いただきます」の意味を分かっていない
✓食材に対する感謝の気持ち
✓作ってくれた人に対する感謝の気持ち
「いだだきます」にはこのように大きく2つ、語源があると言われています。
家庭では料理を作ってくれる母親、学校では給食を作ってくれる方などにまず、「作ってくれてありがとう」の意味をこめて「いただきます」。
そして、野菜やお魚、お肉などの命を提供してくれた食材に「命をいただきます」。
確かに「いただきます」と誰もが言いますが、本当にこれらを考えて言っているのか?という疑問の上のツイートでした。
⇒食品ロスと「いただきます」
まだ食べられるのに廃棄される食品のことを、「食品ロス」といいます。詳しくは、以下の動画をどうぞ。
消費者庁のWEBサイトには、食品ロスについて以下のように書いてあります。
日本では、年間2,550万トン(※)の食品廃棄物等が出されています。
このうち、まだ食べられるのに廃棄される食品、いわゆる「食品ロス」は612万トン。
これは、世界中で飢餓に苦しむ人々に向けた世界の食糧援助量(平成30年で年間約390万トン)の1.6倍に相当します。
これを見ても、日本人が本当に「いただきます」と思っているか、疑問ですよね。
⇒子供の食育の前に大人の食育が必要
大人がこのような状況なので、子どもに「食べものを大切にしましょう」とか、「いただきますを言いましょう」という資格はないと思うのです。
説得力に全く欠けるし、心にもないそんな言葉は子どもに響きません。
こんなモヤモヤとした気持ちがあって、野外講座「命をいただきます」の食育講座をお店として開催することにしました。
当然、参加対象は親と子供です。
「実際に命をいただいく食育」を開催した結果
ちょっと写真がグロテスクでスミマセン。
これは、昨年、僕が養鶏農家さんにお願いして、「命をいただきます」という講座を開催したときの様子です。
養鶏場の中の鶏を子供が一羽捕まえて、食すために命をいただきました。
この養鶏農家さんは、以下の記事でも当店の食育活動に協力してくれました。
>>平飼い卵はなぜ安全なのか?養鶏農家が語るアニマルウェルフェア
・子供達は意外と冷静「いただきます」と言った!
屠畜の瞬間、あれほどワイワイと賑やかだった子ども達が、その様子を真剣に眺めていました。親達も、固唾をのんでその様子を見守っています。
僕は一瞬、「参加者が全員、このお肉を食べることが出来ないのでは?」と不安になりました。
結果は写真のとおり、食べるときにはみんなに笑顔が戻り美味しくいただきました。
一人の子が「かわいそうだけど、頑張って食べなきゃって思いました」と笑顔で回答してくれました。
子どもなりに、事実を冷静に受け止めていた一言で、この講座の目的は達成されました。
・【賛否両論あり】正解はない「いただきます」と食育
この講座、賛否両論だと思います。なぜなら、「子供には刺激が強すぎる」という親御さんも少なからずいるからです。
そのような親御さんは、「子供がそのようなことを人間にするかも(犯罪の助長)」みたいなことも心配されます。
一方、「小さいうちだからこそ、しっかり食の現場を見せておく必要がある」と思われる親御さんも多いのも事実です。
このような親は「傷みが分かるようになるなるので、犯罪に手を染めることはない」と言い切ります。
結局、「いただきます」の食育は、主催者や親の考えによって、ヌルくもなるし過激にもなります。正解はないのです。
「いただきます」の食育をエシカル消費の教育と考えよう
食品ロスの動画の中でも、「食べ物がどこからやってきたのか考えよう」とありました。
「いただきます」の意味を食育で学ぶことは、エシカル消費について教育しているのと同じなのです。
エシカル消費は倫理的な消費ですが、食べ物のルーツを考えた消費活動で、アニマルウェルフェアや児童搾取などが見える必要があります。
エシカル消費については、以下の記事で詳細解説しています。
>>アニマルウェルフェア進展の鍵は消費者【できることはエシカル消費】
今手に取ろうとしている商品、今口にしようとしている食品が、
✓「どこ」で、「誰が」、「どのように」作り
✓「どんな風に運ばれて」今、自分の目の前にあるのか?
「いただきます」を教える食育では、ここ(上記)を押さえておく必要があります。
まとめ:「いただきます」は家庭での食育
お子様へ「いただきます」を教えるのは、ご家庭の役割です。
最近、学校や役所などが、「食育」と銘打ったイベントや講座を実施していますが、これは参加しても意味のないことです。
食育のアウトソーシングとでも、言うべきでしょうか。
食育は、日々、食卓を一緒に囲み、同じ物を食べている親から学ぶことで価値があります。
あなたが、食について一生懸命であれば、子供が親になったとき、あなたと同じように一生懸命になります。
こうして、正しい食の考え方が引き継がれていくのです。
あなたが素敵な食育を、お子様に行えることを願っています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。