オーガニックレストラン「やさいの庭 Chiisanate(ちいさなて)」を経営しているyoshikiです。
この記事は、先日に書いた、「遺伝子組み換え食品の安全性を考える~メリット・デメリット比較編」の続編になります。
この記事はこんな疑問に答えます。
遺伝子組み換え食品については、賛成派と反対派の主張が真っ向から対立している状態で、その安全性に悩むあなたは、どちらの立場も理解しておいても損はないと思います。
記事を読むことであなたには、以下のようなメリットがあります。
難しくて一般の消費者は、何が論点で何が正しいのか分からない遺伝子組み換え食品。
この記事を読んで少しでも、遺伝子組み換えについて理解を深めていただければ幸いです。
それでは早速、今日のお話を進めていきましょう。
この記事の目次
賛成する国と反対する国
このセクションでは、遺伝子組み換えについて賛成している国と、反対している国について紹介します。
遺伝子組み換え食品について賛成派と反対派の意見が対立しているのは、日本の中だけに限ったことではありません。
寛容な米国と厳しいEU
遺伝子組み換え食品に関する論争は世界は巻き込み、各国対応はバラバラなのが現状です。
米国では加工食品の多くが、トウモロコシや大豆などの遺伝子組み換え作物が使われています。
カナダやアルゼンチン、ブラジルなども遺伝子組み換え食品に対して比較的寛容な国です。
一方、EUでは全ての加工食品に遺伝子組み換えの表示を義務付けるなど、遺伝子組み換え食品に対してとても厳しい規制があります。
国によって、遺伝子組み換え食品に対する温度差が大きいのが現状で、それを象徴するかのような事件が2002年に起きました。
拒否された米国のトウモロコシ
2002年、干ばつと洪水により主食のトウモロコシが凶作になったザンビア、ジンバブエなどのアフリカ大陸の国々で、数千人が食糧不足に陥りました。
米国はこれらの国に対して自国のトウモロコシで食糧援助を行いますが、ザンビア政府はこの援助を拒否したのです。
理由は、援助されるトウモロコシの約40%が遺伝子組み換えだったからです。
以下、遺伝子組み換え賛成派である米国と反対派であるザンビアの主張です。
ザンビア
:遺伝子組み換えトウモロコシは、健康被害や在来種との交配、生態系への影響が予知できない
米国
:人々が飢餓の危険に直面しているのにもかかわらず、農業バイオテクノロジーの安全性に関する間違った情報のために、米国民が送った食糧援助の配布が遅れている。
この食糧は米国民が毎日食べているものと同じであり、安全かつ健全であり、今は援助を拒否すべき時ではない
ザンビア
:毒を食べるより、死んだほうがましだ。
他国が受け入れを表明してもザンビアだけは最後まで、トウモロコシの受け入れを拒否し他国からの食糧支援でしのいだと言われています。
あなたがザンビアの大統領であれば、どのような判断を下しますか?
遺伝子組み換え食品の安全性について
それでは、遺伝子組み換え食品の安全性についての、具体的な賛成意見と反対意見をお話していきます。
この両者の意見を見て、どちらがあなたの意見に近いですか?
安全性試験や長期摂取の問題
【遺伝子組み換え反対派の意見】
・ 遺伝子組み換え食品の安全性が十分に確かめられていない理由として、動物実験による毒性試験が課せられてないことや、長期に渡って食べ続けたときの安全性が確認されてないことなどで審査には不備がある。
【遺伝子組み換え賛成派の意見】
・ 遺伝子組み換え食品の安全性評価については、国際的な議論を踏まえて科学的に行っている。
・これまで、世界的にも遺伝子組み換え食品を摂取したことによる問題は起こってない。
・ 除草剤耐性や害虫抵抗性の遺伝子組み換え食品では、遺伝子組み換え食品と非遺伝子組み換え食品の栄養成分は変わらない。
・導入した遺伝子により作られるタンパク質が容易に分解することが確かめられているので、長期毒性試験は不要と判断されている。
出典:みんなで考えよう 遺伝子組み換え農作物・食品(農業生物資源研究所)
動物実験の結果と過去の食品事故
【遺伝子組み換え反対派の意見】
・ 遺伝子組み換えダイズを食べたラットの成長が阻害されたり、出産率が減少したなどの報告がある。
・ 遺伝子組み換え食品の事故として「トリプトファン事件」がある。
・ 害虫抵抗性トウモロコシなどでは殺虫タンパク質が作られているので、これをヒトが食べて大丈夫なはずがない。
【遺伝子組み換え賛成派の意見】
・ 動物実験や長期毒性試験は、必要ないため課してないのであって、必要があれば課すことができる。
・従って安全性は十分に確保されている。
・ トリプトファン事件は、生産過程で作られる有害物質が除けなかったという精製の問題であり、遺伝子組換えされたことが原因ではないと言われている。
・ 殺虫タンパク質のほ乳類への安全性は科学的に十分確かめられているし、農薬なら何でも危険とすることが問題。
出典:みんなで考えよう 遺伝子組み換え農作物・食品(農業生物資源研究所)
感情の問題
【遺伝子組み換え反対派の意見】
・やはり 遺伝子組み換え食品を食べるのは気持ち悪い。
・ 安全性評価のデータは開発者が提出するもので 、 ねつ造などの心配があり、納得できない。
【遺伝子組み換え賛成派の意見】
・ 「気持ち悪い」という感情を否定しないが、安全と安心を混同すべきでない。
・安全性には科学的判断が必要。
出典:みんなで考えよう 遺伝子組み換え農作物・食品(農業生物資源研究所)
遺伝子組み換えの環境への影響
次に、遺伝子組み換えが環境に及ぼす影響についての議論です。
人為的に作り出された遺伝子組み換え生物が、生物多様性に悪影響を与えるのではないかという懸念です。
特定企業への有利性と長期的視点
【遺伝子組み換え反対派の意見】
・ 生物多様性への影響評価は開発企業に有利な法律になっており、多くの問題が表面化している。
・ 遺伝子組み換え農作物の栽培による環境影響は長期にわたって現れるもので、今、影響がないから大丈夫という主張は成り立たない。
【遺伝子組み換え賛成派の意見】
・ 科学的に安全性を評価するものであり、企業に有利になっているものではない。
・ 新しい特性を持った 遺伝子組み換え作物に対して科学的に、慎重に評価をすることは当然である。
出典:みんなで考えよう 遺伝子組み換え農作物・食品(農業生物資源研究所)
生物多様性への影響
【遺伝子組み換え反対派の意見】
・ 具体的には、日本では、GM ナタネの種子がこぼれ落ちて自生し、在来ナタネとの雑種が生じている報告があり、日本の生物多様性への影響が生じている。
・ 海外では害虫抵抗性トウモロコシを食害しない蝶に影響が出たり、メキシコの在来トウモロコシが減少したなどの影響がある。
【遺伝子組み換え賛成派の意見】
・ 遺伝子組み換えナタネの自生や在来ナタネとの雑種が見つかっているが、それが拡大して在来種を駆逐してない。
・交雑したことと生物多様性への影響は別であり、混同すべきでない。
・ 蝶への影響は実験室レベルのことであり、自然界の蝶が減少したとは聞いていないし、在来トウモロコシの減少は、そもそも F1 品種(雑種一代)のトウモロコシ栽培が原因ではないか。
・ これまで 遺伝子組み換え農作物による生物多様性への悪影響は報告されていない。
出典:みんなで考えよう 遺伝子組み換え農作物・食品(農業生物資源研究所)
まとめ
いかがだったでしょうか?
遺伝子組み換えについては、国によっても、そして日本国内でも真っ向から対立する様々な意見があります。
この記事は遺伝子組み換え食品(作物)について、「どちらがいい」といった判断をするために書いたものではなく、あくまでも色んな意見を知ってもらい、記事を読んでくれる方に判断してもらおうと思い書きました。
・遺伝子組み換えを規制する国、緩和する国、自分の国はどちら側なのか
・賛成者の考えや反対者の考え
・お店で販売されている遺伝子組み換え食品やその原材料
・遺伝子組み換えに関して書かれた論文
様々な情報を頼りに自分なりの答えを用意しておけば、自信を持って暮らしていけますね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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遺伝子組み換え食品の安全性について、賛成派の意見と反対派の意見を「遺伝子組み換え食品の安全性を考える~賛成派・反対派比較編」で紹介していますのでご参考下さい。