こんにちは。
やさいの庭 Chiisanateのオーナー 兼 有機野菜を作っている高城です。
数えると、私は年間概ね100品目の野菜を育てています。
収穫した野菜は、9割が自分で運営するオーガニックレストラン「やさいの庭 Chiisanate」で使用し、残り1割を自分たち家族が食べます。
私は、信用してChiisanateに来店してくださるお客様と、自分の家族のためだけに野菜を作ります。
なので、できた野菜はスーパーや直売所のように、誰が購入して食べるか分からない場所には置きません。
そんなChiisanateの野菜なのですが、今年、有機JAS認証を取得しました。
私が有機JAS認証を取得した理由は、年に1回、畑を第三者から検査され、より安全性が担保されるからです。
※有機JAS認証については「有機野菜って何?知っておきたい有機農産物のお話」に詳しく掲載していますのでご参考下さい。
「農薬や化学肥料を使っていません」と、認証を受けずに口で言うだけでもいいのですが、自己流農業では必ず過ちを犯します。
有機JAS認証制度では、そこを第三者の目で厳しくチェックしてくれます。
不特定多数のお客様がいらっしゃる飲食店だからこそ、Chiisanateの野菜は過ちが許されないのです。
今日のお話しは、そんなChiisanateの作る有機野菜についてです。
日頃、お客様に詳しくお伝えする時間がないので、このブログでお話しできればと思います。
有機農法と自然農の中間型
一口に有機農業と言っても、その中には様々な農法があります。
究極の有機農業は「自然農」と言って、肥料を一切使わず畑は耕さない、草も刈りません。
結局、何もせず、自然に任せて育てる農法です。
これに対して一般的な有機農法は、肥料は家畜のふんや植物質堆肥などの肥料を使い、畑は耕します。草もそれなりに刈ります。
どちらも農薬や化学肥料は使わず有機農業に含まれるのですが、より自然の状態に近づける農法から慣行農業に近い考え方の農法まで、有機農業は実に幅広いです。
Chiisanate(私)の作る野菜は、自然農と有機農法を組み合わせた中間型です。
耕さず畝を立てず草は最小限に刈る
Chiisanateは、通常の有機農法がしている「畑を耕すこと」、「畝を立てること」を原則しません。
これは、自然農のやり方を採用しています。
畑の中には様々な生き物がいて、畑を耕すことでそれらの生活環境がぐちゃぐちゃに壊されるからです。
いもや大根のように土の下にできるものでも、畝を立てず平らな状態で植え付けたり種を播いたりします。
なので、Chiisanateの畑は下写真のように畝がないため、いつもフラットです。
そして草刈りは最小限に行います。
これは草を刈らない自然農にはあてはまらず一般的な有機農法に近いです。
ですが、できるだけ自然に近い環境になるように、草の根は残して全て刈り取らないようにします。
育てる野菜が、草に負けず太陽の光が当たるくらいで刈っておくだけです(下写真)。
雑草の根は畑を耕してくれますし、色んな微生物の棲家になっています。
雑草を根こそぎとってしまうと、その環境が壊れてしまいます。
また、雑草は真夏の強い紫外線が直接土に当たるのを防いでくれます。
だから私は適度に草を刈りますが、ある程度は草をあえて残します。
肥料は自分で作る
自然農のように、全くの無肥料でいきたいところですが、さすがに無理でした。
何回か試したことはあるのですが、全て失敗。
食べる部分が小さく使えないものばかりです。
元々、地力がない畑で無肥料栽培すると、こんな悲惨な状況になるのかと勉強になりました。
それ以降、少しですが畑に栄養を補給することにしています。
とは言っても、私は有機JAS認証を取得していますので、ホームセンターで売ってあるような化学肥料や堆肥は使用できません。
なので、JASで使用が認められている菜種油かす(遺伝子組み換えでない)と貝殻石灰を購入して、米ぬかを混ぜて自分で肥料(ぼかし肥)を作ります(下写真)。
また、私はJASで認められる動物性の堆肥は使用しません。
理由は、遺伝子組換え穀物を食べた家畜、抗生物質や殺菌剤などが摂取された家畜から作られる動物性堆肥を畑に散布すると、土が汚染されるからです。
日本のJASではここを黙認しています。
だから、自分で堆肥を作っています(下写真)。
材料は畑の野菜の残渣(料理で使わなかった部分)や畑の雑草です。
こうすると、収穫された野菜は堆肥となって畑に還っていき、循環が生まれます。
苗は自分で作る
有機JASでは、自分で苗を作ることが原則です。
苗を購入すると、購入先で農薬をかけられたり、化学肥料を使われたりしている可能性が排除出来ません。
なので、自分で種から苗を作り、農薬や肥料に汚染されていないクリーンな苗を畑に植え付けます。
品目数が多いので苗作りもかなりの時間を割かれます。
Chiisanateのお庭の片隅は、時期になると苗屋さんになります(笑)
まとめ
私1人の小さな農業だから、このような手間ひまをかけたことができます。
ここまで書いてきた私の野菜作りは、まだ発展途上です。
より安全な、より美味しい、そして子供が喜んで食べてくれる野菜を作るために、日々、勉強して当初よりも作り方や考え方も少しずつ変化しています。
最終的な目標は、
人間が何も手を加えなくても自然と野菜が育つ「自然農」です。
それまでは、JASを守るべき最低限の基準とし、実際はJASよりも厳しい管理をしていくつもりです。
最後までお読みいただきありがとうございました。