日本と海外のアニマルウェルフェアの現状【日本はかなり遅れてます】

日本と海外のアニマルウェルフェアについて知りたい方向けの記事です。

★アニマルウェルフェアの起源は?いつからどこの国で取り組まれたの?

★日本のアニマルウェルフェアの現状は?海外はどうなっているの?

★なぜ、今頃、日本のアニマルウェルフェアについて海外が注文をつけるの?

記事ではこのような疑問に答えます。

結論から言えば、日本のアニマルウェルフェアの取組みは、海外と比較にならないほど遅れています

□■この記事を読んで分かること□■

・海外の方が随分早くから、アニマルウェルフェアの重要性に気付き取組んできた

・日本のアニマルウェルフェアが海外と比較して遅れている理由

この記事を書いている僕は、オーガニックレストラン「やさいの庭 Chiisanate」を経営していて、お店で使うお肉はアニマルウェルフェアを考慮したものを使っています。

仕入れの中で日常的にアニマルウェルフェアについて調べているので、記事の信頼性は高いと思います。

それでは、早速話を進めていきましょう。

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アニマルウェルフェアはいつから?

アニマルウェルフェア(家畜福祉)の考え方は、1960年代のイギリスで出版された1冊の本から始まったと言われています。

自然保護や動物虐待防止活動に力を入れていた女性、ルース・ハリソンが、家畜の虐待飼育や薬剤投与による畜産物の汚染(工場式集約畜産)を批判しました

彼女が書いた本は、「アニマル・マシーン―近代畜産にみる悲劇の主役たち」と言います。

「アニマル・マシーン」は発売と同時に大きな反響を呼び、現在のアニマルウェルフェアの取り組みを促す原動力になっています

これを受けて英国政府は、家畜の飼育実態と福祉について調査してまとめた「ブランベル・レポート」の中で、動物福祉の原則として初となる「5つの自由を提言しました。

以降、アニマルウェルフェアはEUを中心に世界中に広がりました。

参考:アニマルウェルフェアや5つの原則については、以下の記事で詳細に解説しています。

 ⇒⇒求められる家畜のアニマルウェルフェア!家畜の5つの自由を叶えよう

日本と海外のアニマルウェルフェアの現状

このセクションでは、日本とアニマルウェルフェアの先進国であるEUと、近年、州や企業単位で力を入れる米国について解説します。

アニマルウェルフェアが進まない国、日本

家畜の自由を奪う飼育法の代表として、採卵鶏のバタリーケージ飼養豚のストール飼育があります。

バタリーケージ飼育とは、ワイヤー製の金網の中に鶏を詰め込み飼育する方法で、鶏の自由がない超過密飼育(下写真)。日本は、バタリーケージ飼育が9割以上と言われています。

ストール飼育とは体の方向転換体すらできず、一頭がぎりぎりに入る鉄枠檻の中に母豚を拘束する飼育法(下写真)。日本は、雌豚の妊娠ストール飼育は8割以上と言われています。

日頃、スーパーで私達日本人が購入する卵やお肉は、このようにアニマルウェルフェアを考慮せずに育てられたものがほとんどです。

法律と政策でアニマルウェルフェアに取り組むEU

それでは、アニマルウェルフェアの先進国EUはどうでしょうか。

【復習:日本はバタリーケージ飼育が9割以上】

EUでは採卵鶏のバタリーケージ飼育は、1999年から2012年までに段階的に廃止し2012年からは全面禁止です。

ちなみに、冒頭で書いたアニマルウェルフェア発祥の地イギリスでは、2004年の早い段階から禁止となっています

【復習:日本では、雌豚の妊娠ストール飼育は8割以上】

EUでは雌豚の妊娠ストール飼育は、2012年までに段階的に廃止し、2013年から全面禁止になっています。

さらに、EUはアニマルウェルフェア畜産へ転換する農家に対しても、補助金を出してアニマルウェルフェアの広がりを後押ししています

アニマルウェルフェアは生産性や効率性が重視されず、家畜の自由を確保する飼育法なので生産コストが高くなります。これでは農家がアニマルウェルフェア畜産に転換することは難しいので、補助金で農家を支えているのです。

EUの消費者についてもアニマルウェルフェアについての認知度は高く、例えばオランダなどはNGO組織による認証マークも作られています(下画像)。

Beter LevenはNGOオランダ動物保護協会による認証マークで、アニマルウェルフェアの規準によって★の数が1~3個付けられます。

このように、消費者がアニマルウェルフェア畜産物を選びやすいようになっています。

州単位でアニマルウェルフェアの取組みが進む米国

アメリカのアニマルウェルフェアの取組みは、アメリカ合衆国としてより、州単位で取組みが進んでいる状況です。

EUのセクションで紹介した、バタリーケージ飼育と雌豚の妊娠ストール飼育の状況を見てみます。

【もう一度復習:日本はバタリーケージ飼育が9割以上】

一方、米国では

カリフォルニア州:飼育による面積要件を定めた法律が2022年に発効し、以降は卵はケージフリー環境での飼育が決定

マサチューセッツ州:卵を産ませるだけに作られた、鶏用ケージ使用を禁止する法律が2020年に施行予定

ミシガン州:州で生産、販売されているすべての卵は、2024年までにケージなしの状態で飼育された鶏からのものであることが義務付け

オレゴン州:州知事がケージで育てられた卵が州内で生産、販売されることを違法にする法律に署名

参考:バタリーケージの卵を食べたくない!キャンペーン

【もう一度復習:日本では、雌豚の妊娠ストール飼育は8割以上】

一方、米国では

以下、アニマルライツセンターの公式サイト(海外の規制:ブタの妊娠ストール)からの引用です。

フロリダ(2008),メイン(2011),ロードアイランド(2013),オレゴン(2013), アリゾナ(2013)でストール禁止

カリフォルニアは2015年までに、コロラドは2018までに、ミシガンは2020年までに、マサチューセッツは2022までに、オハイオも2025年までに廃止

ここに書いていない他の州も法案が提出され審議中であったり、今後、議会で審議予定であったりと、アニマルウェルフェアの推進について動きがあるようです。

また、Costcoやマクドナルドなどのような大手の小売や外食なども、ケージフリーの卵に切り替えると宣言しています。

米国消費者のアニマルウェルフェアの関心の高さを、うかがい知ることができます

東京五輪で発覚した日本の低いアニマルウェルフェア水準

なぜ、日本のアニマルウェルフェアは海外と比較して大きく遅れをとっているのでしょう?

日本は、海外に向けたお肉や卵の輸出が少なく、今まで、厳しい世界の目から逃れられていたことも原因の一つです

ノーマークだった日本の畜産が、世界の目にさらされるきっかけになったのが東京五輪なのです。

アニマルウェルフェアに対する日本の取組みの悪さに、海外のオリンピック選手達は改善要求を突きつけています。

今まで開催されたオリンピックの食材から考えると、日本の畜産物はあまりにもアニマルウェルフェアの意識が低いからです。

東京五輪とアニマルウェルフェアの問題は、以下の記事で詳細に解説しています。

まとめ:心身ともに健康な畜産物を食べたい

今日は、海外と日本のアニマルウェルフェアの現状を比較しました。

僕がアニマルウェルフェアという言葉を知ったのは、今から20年前の大学の授業です。

※20年前から、日本でもその言葉はあったのですね。

 

当時の僕は、なぜ、いずれ食べるお肉や卵にアニマルウェルフェア(家畜の福祉)が必要なのか?理解できませんでした。

 

でも、今自分でオーガニックレストランを立ち上げ、仕入れなどの日々の業務の中で思うのです。

 

「心身ともに健康で幸せだった良質なお肉や卵を食べたい」と。

 

あなたは、日本のアニマルウェルフェアについてどう思いますか?

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

【関連記事】

それでは、アニマルウェルフェアを日本で広めるためにはどうすればいいのでしょう?この答えを以下の記事にまとめています。

 ⇒⇒進まぬ日本のアニマルウェルフェア:消費者が握る進展の鍵

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