✓本記事の想定読者
・有機JAS認証の取得を考えているけど、取得するメリットはあるの?
・逆に有機JAS認証を取得するデメリットってあるの?
・メリットとデメリットをどのように受け止めればいいの?
この記事は、上記のような疑問や不安を抱く、有機JAS認証取得の挑戦者向けの記事です。
✓本記事の要約
この記事では、以下のことが書かれています。
【体験談】農家が有機JASを取得するメリットとデメリット
有機JAS認証取得のデメリットを武器に変える
✓本記事の信頼性
この記事を書いている僕は、脱サラ後、研修等なしで全くのゼロから農業を始め、有機JAS認証を取得した農家です。かつ、有機JASの検査員もしています。
そんな僕が書く記事なので、信頼性は高いと思います。
この記事の目次
【体験談】農家が有機JASを取得するメリットとデメリット
まずはサクッと結論から。
有機JAS認証の取得に関しては、圧倒的にデメリットの方が多いと思います。
その理由は、慣行農業に比べて普段の農作業以外にたくさん仕事が課せられるからです。
こう聞くと、じゃあ「有機JAS認証取得は辞めよう」と思う方もいるかもしれませんが、心配しないで下さい。
後半で解説しますが、必ずデメリットをあなたの武器に変えることができます。
記事では、有機JAS認証の取得前と取得後に分割して、それぞれのメリットとデメリットを紹介していきます。
・有機JAS取得前のメリットとデメリット
まずは、認証を取得する前のメリットとデメリットの比較です。
⇒有機JAS取得前のメリット
認証取得前のメリットと言えば、以下の1点くらいだと思います。
情報収集の中では、有機農家の栽培管理方法や有機JASマークなどを知ることになります。
例えば以下の記事の内容は、僕が、有機JAS認証について勉強する際に、知ったことをまとめたものです。
>>有機野菜と無農薬野菜の違い【正規の有機野菜とは法律が絡みます】
情報収集の中でこのくらいの知識は確実につきますし、この情報は、必ずあなたの日々の農業にプラスになります。
ただ、取得の目的が「親や知人に勧められた」など、そもそも取得に関してモチベーションが低い方は、逆に情報収集が苦痛でデメリットになったりします。
⇒有機JAS取得前のデメリット
逆にデメリットは、挙げればキリがありませんが代表的なものをいくつか。
認証取得の流れや申請に必要な様式、JAS法のことなど疲れた体にムチを打ちながらの作業です。
誰か助言してくれる方が近くにいれば、効率的に進めることができますが、自分一人で一からだとしんどいです。
情報収集の中であなたは、使える肥料や農薬に限りがあることを知ると思います。
自分が今まで使っていた化学肥料や化学農薬を一切断ち切り、今のような収量を確保できるのか?毎日不安になると思います。
もし、有機JAS認証の取得を考えているのであれば、メインほ場とは別に試験的に化学肥料や農薬を使わずに育ててみることをお勧めします。
上記2つのデメリットを受け入れ、認証取得ために行動する決断をしたあなたを待ち受けているのは、膨大な申請資料の作成と日々の記録付けです。
どのような申請資料を作成し、どのように日々の記録を付けるかは、以下の記事で具体的に解説しています。
>>【完全ロードマップ】有機JAS認証の取り方:農家が手順を徹底解説
しかも、日々の記録付けは、無事認証を取得してからも毎日続きます。
・有機JAS取得後のメリットとデメリット
次に、認証を取得した後のメリットとデメリットの比較です。
⇒有機JAS取得後のメリット
晴れて有機JAS認証を取得した後は、あなたにとって以下のようなメリットがあります。
自分は厳しい審査をクリアした、日本でも少ない有機JAS認証農家という自負が心の中に芽生えます。
これはとても良いことで、有機農家として今までよりも一層、安全な農産物を作ろうとする意識が高まります。
認証を取得すると有機JASマークを自分の農産物に貼れます。簡単に書きましたがこれは凄いことです。
マークが付いている農産物がほとんどないマーケットで、自分の農産物が輝いて見えます。当然、やる気につながります。
⇒有機JAS取得後のデメリット
これはもう書きたくないくらいたくさんあります(笑)。僕が特に負担だと思うものを書いておきますネ。
認証取得前で書いたデメリットと同じです。認証取得後も引き続き、毎日の栽培記録を録る必要があります。
さらにこれだけでは終わりません。取得後は、いつ、どこにどれだけ出荷したのかや、添付したJASマークは何枚か等、栽培記録以外にも録るべき記録があります。
「収穫⇒出荷して終わり」。普通の農家ならこれで済みますが、有機JAS認証農家はそうはいきません。
有機に転換する前に、化学肥料を多用していた農家ほどきついです。
有機的管理をして1年くらいは、今まで使っていた残肥のおかげで化学肥料を使用しなくても、ある程度収穫量は確保できます。
でも、肥効が切れた2年目は多くの農家は収穫量が落ちると思います。
僕の場合、いきなり無肥料栽培に切り替えたせいもありますが、玉ねぎがピンポン玉くらいの大きさですね(笑)。
僕のような失敗をしないためにも、有機JASに挑戦する数年前から、畑の隅で実験的にJAS相当の管理をして、収量実験をしておくことをお勧めします。
毎年、JAS法に則りしっかり栽培・管理・出荷されているか、記録関係はしっかり録っているかなど、第三者である検査官から厳しいチェックを受けます。
しかも、検査費用や検査官の交通費まで自腹(農家負担)です。
有機JASの年次検査の様子は、以下の記事で詳細に解説しています。
>>有機jas野菜を危険と言う人、年次検査を受けてみて【マジ厳しいから】
有機JASマークを付けた自分の農産物は特別なので、「少し高くても売れるだろう」と皆思っているはずです。
しかし、これはあなたの妄想です。
消費者は、周りより割高なあなたの有機農産物を選ぶことはないでしょう。
大事なのは、有機JAS認証を受けた農産物ではなく、あなたが、有機JASを武器にして、
✓どのようにお客様を見つけるか?
✓農産物をどのようなストーリーを付けて販売するのか?
です。
この具体的な手法は、以下の2つの記事で徹底解説しています。
有機JAS認証取得のデメリットを武器に変える
やはり有機JAS認証を取得するのは、やめた方がいいのか?あなたは悩むと思います。
それでも僕は、「有機JAS認証を取得して良かったと思っています」。
正直、デメリットの方が多いですが、そのデメリット一つ一つに真摯に向き合い、質の高い農産物を作ることに努力をします。
そして、消費者にその想いを一生懸命に伝えると、売れなかった有機農産物が少しずつですが売れるようになります。
大変なJAS認証の基準を守りながら、質が高く消費者を裏切らない農産物を作り続ける努力や試行錯誤のプロセスが大事です。
そして、そのプロセスが、あなたの農産物を食べるお客様伝わると、共感を与えるようになるのです。
その結果、他の農産物との違い(付加価値)が生まれ、有機農産物が売れるようになります。
ストイックに努力し続けているうちにデメリットと思っていたことは、いつの間にか他の農家が作った農産物を寄せ付けない武器になります。
まとめ:有機JAS認証の取得は本気度を図る物差し
有機JAS認証の取得について、メリットとデメリットを詳しく解説しました。
記事にも書きましたが、有機JAS認証はあくまでも、守るべき最低の基準と考え、日々の栽培管理や売り方を研究する必要があると僕は考えています。
有機JAS認証はあなたの本気度を図る物差しなのです。
デメリットも多いですが、それに負けないくらいの喜びも多いですよ^^
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
==追伸==
あなたが、この記事を読んでもっと有機JAS認証取得に関する情報が欲しい!と思ったら、以下の3本の記事もご参考下さい。
✓【無料&初心者歓迎】宮崎県美郷町で有機農業の研修と田舎体験>>
✓【完全ロードマップ】有機JAS認証の取り方:農家が手順を徹底解説
もし、あなたがJAS認証取得で悩みや不安があるときは、以下のような無料コミュニティもありますので、のぞいてみませんか?
きっと、同じ仲間が見つかるはずです。