直売所に売られている野菜について、「安全で新鮮で安心」と勘違いしている消費者が非常に多いです。
僕は、有機JAS認証を取得し、「やさいの庭 Chiisanate」を経営している農家ですが、この勘違いについて懸念しています。
なぜなら、安全と思い込み直売所で購入する消費者は、自分の知らない間にせっせと農薬を体に取り込んでいる可能性があるからです。
そこで、本記事では現役有機農家である僕の実体験を元にして、農薬の使用実態と安全な野菜について解説します。
この記事を読めば、直売所の野菜が思っていたより安全でなく、むしろ、農薬の危険性はスーパーより高いことが分かるはずです。
この記事の目次
直売所の野菜は農薬を使用!
先日、僕は以下のようなツイートをしました。
大根葉が畑の隅に大量に捨ててある。
— Yoshiki ※レストランオーナーの呟き (@chiisanate_0609) October 13, 2020
畑にいた農家のおばちゃんに、
「もったいないですね」と尋ねる。
農薬かけて時間が経ってないから、
食べたら危険との回答。
おばちゃん、教えてくれてありがとう。
直売所に出荷せず捨ててくれてありがとう。
結局、農産物の安全性は生産者の良心による。
大根葉が畑の隅に大量に捨ててある。
畑にいた農家のおばちゃんに、「もったいないですね」と尋ねる。
農薬かけて時間が経ってないから、食べたら危険との回答。
おばちゃん、教えてくれてありがとう。
直売所に出荷せず捨ててくれてありがとう。
結局、農産物の安全性は生産者の良心による。
本記事では、このことについて深掘りしたいと思います。
・農薬は使用基準を守らなければ危険となる
農薬には、必ず使用する量や時期などの基準が定められていて、それを守った野菜が基本、市場に流通しているはずです。
ここで、「はずです」と断定できないのがポイント。農薬を使用した農家を信用するしかないからです。
「ダイアジノン」:このおばちゃんが、僕に具体的な農薬名を教えてくれました。
調べてみると、下画像のようになっています。
僕が畑の隅で大量に捨ててあるのを見た大根葉は、最近、ダイアジノンを散布したため、赤枠内の「但し、収穫21日前まで」に抵触したのでしょう。
このおばちゃんは、農薬の知識を持ち、正しく使用しているとい言えます。
・直売所に売られる野菜はどんな野菜かを知る
但し、農家はこんなおばちゃんばかりではありません。
特に、何の規制もなく誰でも登録すれば出荷できる直売所は、無法地帯で危険性があることを頭に入れておく必要があります。
✓綺麗な野菜を作るために、時期や量を守らず農薬を使う方
✓市場に出せないような低質の野菜を「捨てるよりマシ」と考え出荷する方
✓お小遣い稼ぎ程度に、趣味で野菜を作って出荷する方
もちろん、直売所の運営方針等によって、しっかりした生産者でなければ販売できないところもあります。
しかし、上記のような野菜が直売所には多く出回っている現実を知っておきましょう。
・基本、こだわり野菜は直売所では売らない
基本的に、あなたが期待しているような、低価格、高品質で新鮮で安全な野菜などは直売所には売っていません。
なぜなら、高品質で新鮮で安全な野菜は生産コストがかかるため、直売所に持っていくと価格競争に巻き込まれ赤字になるからです。
言ってしまえば、直売所は価格が全て。右のピーマンが1袋100円、左のピーマンが1袋90円で販売してあれば、消費者は90円の方を選びますよね。
なので、こだわって生産された農薬を使わない野菜を、農家は直売所に持っていかないのです。
結局、野菜の安全性は生産者次第
仮に、先程、僕が畑で話したおばちゃんが、「大根葉をもったいないから直売所で売ろう」と考えればどうでしょう。
直売所はコストがかかる残留農薬検査などするはずがありません。
おばちゃんが持っていくと、直売所の棚に1袋100円程度で、農薬の使用基準を破った大根葉が並ぶことになるでしょう。
これってすごく怖いことだと思いませんか?
・野菜の安全性は資格や農法ではない【生産者の考え方が鍵】
僕が「直売所に出荷せず捨ててくれてありがとう。」とツイートしたのは、このような理由からです。
僕の持論になりますが、野菜の安全性と資格や農法には関係性はありません。
✓私は有機JAS認証を取得して、国が認めたオーガニック野菜を作っています
✓私は自然農で農薬や化学肥料を一切使っていません
どちらも安全性の高い野菜であることは、間違いないでしょう。
⇒野菜は信頼で選ぶもの【農薬不使用とかあまり関係ない】
でも、消費者は農家の農業を横から見ている訳ではないので、結局は、その農家をあなたがどれだけ信用しているかが重要となります。
僕が畑で話したおばちゃん農家は、確かに農薬を散布しましたが、使用基準をしっかり守っています。
仮にこの方が、僕の近所に住んでいるとします。
息子と遊んでくれたり、農薬の使い方についてもっと深い話をしてくれたりすれば、僕はおばちゃんの大根を食べようと思うはずです。
なぜなら、そのおばちゃんを人柄や農薬の知識を信頼しているからです。
専門家の僕が農薬使用の実態をこっそり暴露する
ここからは、現場の農薬使用についてあなたにこっそり教えます。
僕は、有機農家をする前に、農業系の公務員をしていまして、毎日、資料の中に埋もれて仕事していましたw。
その資料の中から、僕が、衝撃を受けて捨てることができなかったものを、あなたにこっそり公開します。
具体的な県名は伏せさせて下さい。
・48回!3~5日に1回は農薬を使う○県のトマト
この資料は僕が前職の時に入手した、トマトの農薬使用回数です。
数年前なので、今は使用禁止の農薬もあるかもしれませんが使用回数の参考として掲載します。
使用される農薬は、合計23種類で48回使われます。
分かりやすく換算すると、このトマトは3日に1回の農薬を使っているのです。
青字が殺菌目的で、赤字が殺虫目的で、黒字がその他(成長調整や除草)目的で、用途は様々です。
当然ですが、このトマトはスーパーや飲食店など、様々な経路で流通して私達の口に入ってきます。
僕はこの実態に驚愕し、野菜は自分で作ろうと固く決意して今に至ります。
・JAや農業系公務員は農薬使用を勧める立場
実は、この資料、とある県の担当者から入手した資料を、僕が分かりやすく加工したものです。
改良普及員や試験場職員などの農業系公務員は、オーガニックなんて推進しません。
なぜなら、農薬や化学肥料を使用しないオーガニックを推進すると、収量が落ちて農家の収入が減り、自分の責任問題になるからです。
なので、「この時期にはAという農薬、この時期にはBという農薬を使用しましょう」などと、農家に指導します。
JAも基本同じですね。しかも、JAは農薬や肥料を売る総合商社でもあります。「農薬を使うな」と声をあげて言えませんよね。
日本の食は信頼できる生産者を見つけた者が勝つ
お肉や卵、お米、野菜など最近は、自分の信頼できる生産者から直接、取り寄せる消費者が増えています。
これって、昔の日本に戻っているような気がしませんか?
昔は、ご近所さんから卵やお米やお野菜のお裾分けがありました。
信頼しているご近所さんなので美味しくいただけます。令和の今、ご近所さんは話したこともない赤の他人で、農業なんてしていませんよね。
だから、食のリテラシーが高い方は自分が信頼できる生産者を探します。
今の日本の食で何が一番怖いかって、どこの誰がどのように作ったかが分からないことなのです。