国がオーガニック基準を定めた有機JAS認証制度。
一般の農家には、中々理解できないところが多いと思います。
有機JAS認証農家の中にも慣行農業に近い農家もいれば、どっぷり有機の世界にハマる農家もいます。
この両者の考え方の違いはどこからくるのでしょう?
今回は、僕が有機JAS認証農家であり有機JAS検査員である経験から、有機JAS認証農家の生態を紐解きアドバイスさせていただきました。
✓農家が有機JAS認証を取得する理由は大きく2つある
✓取引先のない個人の零細農家が有機JAS認証を取得しても正直、報われない
✓零細農家が、有機JAS認証を取得することがないからこそブルーオーシャンの市場で戦える
といった部分に言及しています。
JAS認証の肥料のなかには抗生物質や遺伝子組み換え飼料で汚染された堆肥もあるようですが、有機JAS認証農家の多くはこれを使っているみたいですね!
それでも「有機野菜です!」と名乗れるのでは、有機の原則をつらぬき自家製堆肥などで頑張っている有機農家さんが報われない気がするのすが…。
高城さんはいかがお考えでしょうか?
Aさん こんにちは^^
結論からお話しすると、確かに有機JAS認証農家は報われないことの方が多いですね。
僕のように個人で有機JASを取得し、一般家庭にお野菜を宅配している方はなおさらです。
農家が国のオーガニック基準である有機JAS認証を取得する理由は
①取引先から有機JAS認証の取得を求められる(取得が取引の条件)
②自分の農産物の付加価値を高める
このいずれかですが、ほぼ100%に近い方が前者(①)の理由で認証を取得します。
日本では、有機JAS認証を取得していなければ、「有機●●」と表示して農産物を販売することを法律(JAS法)で禁止しています。
法律なので罰則規定もあり、これを破ると法に基づき処罰されるんです。
①の場合は、取引先から買い叩かれることも多いですが、大口の顧客になるため、皆、仕方なくJAS認証を取得します。
なので、肥料の質などはあまり考えず、「JASの基準さえ守っておけばいい」という方が多いですね。
一方、②の場合、僕のような農家ですが有機JAS認証を取得してもそれだけでは野菜は売れません。
なぜなら、消費者に認知されないからです。
僕がそうだったんですよね。
付加価値を高めるために取得した有機認証でしたが、認証を取得しただけでは全く売れませんでした。
有機JASよりも厳しい基準で有機を追求している農家(自分)にとっては、たまったものではありません。
だから僕は、このコミュニティーで「認知を含めた集客方法」が重要と何度もお伝えしているのです。
有機JAS認証農家の中にも、僕のようにオーガニックの原則を貫こうとする方と、基準だけ守っておけばOKと考えている方がいます。
どちらも有機JAS認証で、消費者から違いを見分けることはできません。
有機JASマークをつけるとどちらも同じ、国家規格の有機農産物になっちゃうからですね。
個人的には現在のJAS制度は、あまり納得できていません。
ではなぜ、僕が有機JAS認証を取得しているのか?
Chiisanate(僕)のブランディングの一つとして捉えているからです。
僕は「有機JASなんて有機農家として守るべき最低限の基準」と、消費者に発信しています。
これは有機JAS認証を取得していなけば説得力に欠けますよね。
たださえ、取得が難しい有機JAS認証を「涼しい顔してそのように言ってのける」
こうすることで、個人でも消費者に信用してもらうわけです。
僕のような零細農家が、有機JAS認証を取得することはほとんどありません。
そんな市場でネットを駆使し発信・PRできれば「農家直送の有機宅配」マーケットは、意外とブルーオーシャンなんですね。
なので、僕は「有機JAS認証を武器として使用し、他のJAS認証農家のステージでは戦わないようにしている」
これが答えになります。
ご参考いただければ幸いです^^
上記は、僕が運営している無料のコミュニティ「零細個人農業者の勉強部屋(経営力UPを目指す!)」でのやり取りです。
参加に興味のある方は、以下の記事をご覧ください。