高城さんの作付け計画についての考え方を具体的に教えて下さい!

少量多品目栽培を考える農家にとって、作付け計画はメチャ重要です。

なぜなら作付け計画を作ることによって、年間の労働手順を頭に入れるとともに、播種や植え付け時期のタイミングを逸することのないようにするためです。

今回は、年間100品目程度を作る有機農家の僕が、作付け計画の考え方についてアドバイスさせていただきました。

試しに作付けしてみて、環境や出荷のタイミング等合わなければ次年度は作らない

小規模面積で売上を最大化させるためには時期をずらしながら少しずつ播種し長期間の収穫を考える

自分の栽培(作付け)環境から、いつまで種まきできるかを見極める

といった部分に言及しています。


先日、僕の運営するコミュニティ、「零細農家が学ぶ勉強部屋」で以下のPDFを教材として共有しました。

 

僕の作付け計画について、細かく書いたものですね↓

2022年春夏作_作付け計画>>

 

この教材を見たコミュニティ生から、以下のような質問が届きました。

 

高城さん
貴重な作付計画シェアしていただきありがとうございます。

こちらのpdfについて質問なのですが、

①作らない欄の野菜は、前回育たなかったからでしょうか?それとも他に理由があるのでしょうか?

②オレンジの部分は種物とありますが、白とオレンジの色分けされてるものは何の違いでしょうか?

③(1)は1回目の種まき、(2)は2回目、つまり1年で何度も作れる野菜ということでしょうか?

④(数字)のない野菜は、1度しか作れない野菜ということでしょうか?

⑤春は5月末の落花生で播種は終了ということでしょうか?

⑥夏、秋、冬と年に4回作付け計画を立てるということでしょうか?

お手すきの際、ご返事お待ちしてます。

 

Aさん こんにちは^^

ご質問について、以下のように回答させていただきますね。

 

①作らない欄の野菜は、前回育たなかったからでしょうか?それとも他に理由があるのでしょうか?

 

→「育たない」、「出荷のタイミング」が合わないが主な原因です。

 

==

育たない

==

 

気温や肥料要求量、育たない理由は様々ですが無理に育てようとすると手間やコストがかかることや肥料の与えすぎで不味くなると考えています。

 

その土地に合った野菜で、自分が納得できる成長ができない野菜は迷わず切ることを選択します。

 

少量多品目栽培は、一つの作物のこだわる必要がないので、自分の育てやすい品目を選ぶべきだと思います。

※当然、お客様のニーズも加味しますが。

 

==

出荷のタイミングが合わない

==

 

例えば30日大根などは、昨年、作ったのですが、在圃性が悪いと感じました。

 

つまり、収穫期間が短くすぐに収穫しないとスが入りやすいのです。

 

僕は毎週1回、お客様に収穫したお野菜を送るのですが、3月の第1水曜日に送った30日大根はOKでも第4水曜日に送る頃には、割れたりスが入ったりして送ることができません。

 

出来るだけ長く収穫するのが、小規模農家の鉄則なので品目的に合わないと気付いたんです。

なので、そのような作物も躊躇なく外します。

 

 

②オレンジの部分は種物とありますが、白とオレンジの色分けされてるものは何の違いでしょうか?

 

→オレンジにハッチをかけている作物は、育苗せずほ場に直接、種をまくお野菜です。

 

僕の経験上、同日に播くと効率がよく種が播けあまり失敗が少ないんです。

なので、オレンジ色の網掛け作物は、天気を見ながら1~2日で播いてしまいます。

 

※僕が見やすい(種まきをもらさない)ように分かりやすくしているだけです。

 

 

③(1)は1回目の種まき、(2)は2回目、つまり1年で何度も作れる野菜ということでしょうか?

 

→はい!仰る通りです。

 

ここは小規模有機農家に必要な技術なのです。

お野菜を毎月切らさずお客様に送るためには、大量に種を1回で播くのでなく、ちょこちょこ時期をずらしながら作るといいです。

 

例えば、水菜を2月の中旬に1回しか種まきせずしかも大量播種だと、収穫も一気にする必要があるため余り過ぎて、ダメにしてしまうんです。

 

1回目の水菜が終わりかけの頃、2回目の水菜が収穫でき、2回目が終わりかけの頃、3回目の水菜を収穫。

 

こんな感じで一品目を長く収穫するためには、少しずつ時期をずらしながらこまめに種を播いた方がいいですね^^

 

 

④(数字)のない野菜は、1度しか作れない野菜ということでしょうか?

 

→そんなことではありません!

数字がない作物でも数回作れるものもあります。

 

例えばバジルなどは、去年、2回、種まきしましたが多すぎたんですね。

わき芽が大量にでてくるので、そんなにたくさん作る必要がなかった。

 

抱えているお客様の人数や、他野菜の播種のタイミング、ほ場が空いているか?

など状況を見ながら1回しか作らないお野菜も多いです。

 

なお、例えば、じゃがいもなどは植え付け時期があり、タイミングが重要です。

複数回に分けて植え付ける野菜ではないんですよね。

 

この辺りは、経験での判断になります。

 

 

⑤春は5月末の落花生で播種は終了ということでしょうか?

 

→そうですね。もっとたくさん播きたいところですが、以下の2点で難しいと経験上判断しています。

 

✓梅雨の時期に入る

✓育苗してもほ場に植え付ける頃には高温で育たない

 

梅雨に入ると、晴れ間が少なくなり育苗する苗も徒長(ヒョロヒョロと痩せた苗)になります。

 

仮に立派な苗になっても、7月8月の高温で育たなくなるんです。

であれば、植つけ可能な時期を自分で見つける必要があります。

 

昨年の僕の経験上、5月下旬くらいが限界でした。

 

もちろん、場所によっても時期が長くとれる場所もあれば、短くなる場所もあるかと思います。

 

これも、経験で判断していくことになりますね^^

 

 

⑥夏、秋、冬と年に4回作付け計画を立てるということでしょうか?

 

→僕は春夏作と秋冬作の基本2回です。

※人によっては、4回に細分化する方もいるかもしれません。

 

先ほども書いたように、炎天下の真夏に、ほ場には何も作付けできません。

僕の場合ですが、7月下旬くらいから、秋冬野菜の育苗を始めます。

 

涼しい場所で育苗して、猛暑がおさまる9月頃からほ場に植え付けていく感じです。

 

なので僕の場合は年に2回の繁忙期のピークがあります。

 

1回目が春夏作の植え付け時期4~5月。

2回目が秋冬作の植え付け時期9~10月。

 

※この2つの時期は激やせします(笑)

 

今回のご質問を拝見させていただき、僕の共有した資料をかなり細かく読み込まれていることが分かります。

 

とても素晴らしい質問だと思いました。

 

僕の思考に触れることで、農業初心者でも何となくですがどのように戦っているかが分かると思います。

 

Aさんも実際に農業を始められる頃には、今より何倍も知識がついているはずです。

 

今回のように、僕の情報を眺めてみて疑問に思ったことがあれば遠慮なくご質問くださいませ^^

 

上記は、僕が運営している無料のコミュニティ零細個人農業者の勉強部屋(経営力UPを目指す!)」でのやり取りです。

 

参加に興味のある方は、以下の記事をご覧ください。

【無料コミュニティ】個人農業者の勉強部屋の解説>>

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