国がオーガニック基準を定めた有機JAS認証制度。
一般の農家には中々理解できないところが多いと思います。
特に畑に種や苗を降ろす最初の工程は、有機JAS制度に則った作業が必要となります。
今回は、有機JAS認証農家であり有機JAS検査員である経験から、有機JASにおける種や苗についてアドバイスさせていただきました。
✓原則、有機の種を使用し苗の購入は認められない
✓種苗会社が登録した品種などを自家採取しなければ種苗法には抵触しない
✓有機JAS認証農家でも一般苗を購入することが例外で認められる場合がある
といった部分に言及しています。
・有機JASでは、有機野菜用の種から作る必要があるのでしょうか?
・種の自家採取は種苗法により今後それができなくなるのでしょうか?
・また、そうなった場合、高城さんはどう対応していくのでしょう?
お手すきのさいご回答いただけたら幸いです。宜しくお願いいたします。
Aさん こんにちは^^
有機JAS認証農家の種苗については、以下のように考える必要があります。
・原則、有機の種を使用
・原則、苗の購入は認められない
まずは、種についてのお話から。
基本的に、有機の種を使う必要があるため、自分の有機ほ場で種をとるor有機の種苗を購入する
のどちらかになります。
僕は、両方採用しています。
ちなみに種苗法ですが、種苗会社が登録した品種などを自家採取しなければOKと僕は理解しています。
つまり、僕ら有機農家が使っている固定種のような昔から使われてきた種は登録品種ではないので種取りOKです。
「零細農家まで種を取るな」はあまりにも横暴だと思いませんか?
そもそも、有機でつないできた種は、誰のものでもありません。
※F1と違い、昔からその土地で農家が取り続けているものなので、種苗会社のものでもないのです。
ちなみにJASでは有機の種の購入も可能です。
例えば、以下のような種苗を使うことはJASで認められています↓
自家採取の道もあるし、有機種子の購入の道もあるため、個人的にあまり気にはしていません。
次に苗について。
苗が購入できない理由は、育苗段階で「化学肥料や農薬」を使用しているから。
なので、基本、農家は自分で育苗するか、有機の苗を業者から購入します。
しかし、有機JASでは、「原則」という文言で逃げ道を作っています。
つまり、例外規定を設けて市販の苗の購入を認める場合があるのです。
例えば、トマトやピーマンなどの果菜類は「育苗に失敗して、その年の収量=売上に大きな影響を与えるとき」など、一般苗の購入が可能です。
なぜなら、果菜類の育苗は難しいとされ、失敗が多いからです。
多くの有機JAS農家は今や慣行農家とは変わらない専作形態です。
つまり、トマト専作で育苗に失敗したらその年の収入は0。
有機JASではこれでは可哀そうだから、どうしても仕方ない場合は購入OKとしています。
しかし、僕がJASの検査員として農家さんに聞き取りを行うと、「果菜類なら購入苗OK」と勘違いされている有機農家さんがたくさんいます。
育苗失敗とかではなく、普通に育苗が面倒なんで苗を購入しているんです!
ちなみにですが、僕は自身、育苗の失敗は諦めます(絶対購入しません)。
その理由は、少量多品目なので例えトマトの育苗が失敗しても他の野菜で収入をカバーできるからです。
有機農業の王道である少量多品目栽培を行っていれば、このようなリスク分散ができるのです。
しかし、今の有機JAS認証農家は90%以上が多量小品目栽培。
つまり僕と真逆ですね。
有機JASの基準を守っている以外は、さほど慣行農家と変わらないのです。
有機JASの種苗については、ここでは書ききれないほど色んなことがあります。
おいおいチャット内(勉強部屋)でもお伝えしていきますね。
上記は、僕が運営している無料のコミュニティ「零細個人農業者の勉強部屋(経営力UPを目指す!)」でのやり取りです。
参加に興味のある方は、以下の記事をご覧ください。