スマート農業とは農林水産省の机上の空論?ほ場で感じる私の違和感

こんにちは。

やさいの庭 Chiisanate(ちいさなて)のオーナー 兼 有機野菜を作っている高城です。

最近の農業界のトレンドはスマート農業だそうです。

自分も農業者なのに、他人事のように言っているのは、全く興味がないからです(笑)。

それではなぜ記事にしたかというと、あなたと一緒にスマート農業と農の未来について考えてみたかったからです。

スマート農業とはロボットやAI(人口知能)といった先端技術を活用して農作業の省力化・効率化、そして生産性や品質を上げていく新たな農業のことです

農林水産省は、スマート農業を積極的に推進する理由を、以下ように説明しています(私なりに分かりやすく解釈しました)。

日本で農業する人は高齢者ばかり。

新しく農業を始める人も少ないです。

農業を強くして、魅力ある産業にするには省力化や軽力化が必要です。

他産業が、ロボットやAI(人工知能)を使って成功したでしょ。

こらからは農業にもこれらの技術を取り入れていくのです。

言っていることはよく分かりますが、農水省でスマート農業の制度設計をされている方達は、農業の現場を知らないのだと思います

今日は、私が農の現場で感じるスマート農業への違和感についてお話ししたいと思います。

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机上と現場の乖離

農業とは農を業(なりわい)とすることです。

業(生業)とは、生活をしていくためにする仕事のことを言います。

 

 

これは、私自身の反省でもありますが、農水省で働いていたときは、この基本的なことを忘れていました。

いや、仕事をスムーズに進めるために忘れる必要があったのです。

 

 

農水省職員は所詮、国家公務員で、国全体としての農業を常に考えている集団です。

個々の農を生業としている農家のことは考えないので、農政はいつも農業の現場から離れてしまいます

 

だから、高齢者ばかりで農業の担い手が少なければ、「ロボットを使って農作業を効率化すればいい」といった短絡的な答えが出てきます。

 

 

 

でも、農を生業としている農家はそんな単純ではありません。

 

 

例えば、スマート農業で無人で田に苗を植えてくれる大型機械があったとします。

ですが、農家が本当に省力化を期待しているのは、大型機械が無人で苗を植えることではなく、その前の段階(苗を機械に運び込む作業)だったりするわけです。

※これが意外と重労働で大変なのです。

 

 

 

また、農村生活では人間関係のようなスマート化できないものも多くあります。

 

ロボットが畑の管理・見回りをして、農家は自宅のモニターで・・・

みたいなことも、スマート農業では可能なようですが、農村生活では作業や見回り中に、ご近所さんと顔を合わせて話すことも大事なのです。

 

 

スマート農業を導入する農家としない農家で、農村集落のコミュニティー機能が分断されてしまう恐れもあります。

 

 

結局、農家自身が国の政策を望まない場合も多く、多くの政策は農水省の机上の空論となってしまいます

 

 

スマート農業は果たしてどうなるのでしょうか。

 

ロボットになくて農家(人間)にあるもの

ロボットになくて農家(人間)にあるもの。

あなたは何だと思いますか?

私は感情だと思います。

農業はこの感情がとても大事だと私は思うのです。

例えば、私はトマトを支えるために支柱を立てています。

トマトを全て収穫し終わり、支柱も抜いて片付けようとします。

ですが、その支柱には鳥がいつも止まって、休憩したり餌を探すために眺める場所となっています。

これを知っている私は、敢えて支柱を片付けずに残しておきます

生態系の中で動物、植物、昆虫、人間、全てがお互いに配慮し合うことが有機農業の原則です。

「鳥の生活環境を壊したら可哀そう」という感情が、敢えて支柱を残す判断をしたのです。

もし、これがロボットだったらどうでしょう?

決まった作業を、決まった時間に、決まった方法でやるようにプログラミングされているので、敢えて片付けずに残すといった判断はできないでしょう

収穫作業もそうですが、「あのお客さんは、人参の葉を天ぷらにしたら喜んだな~」と記憶が私の頭の中あり、1つの人参だけ葉をつけたまま収穫します

ロボットの場合、無条件で全ての葉を落としてしまうでしょう。

結局、感情のないロボットの作業は、無機質であって温かくないのです

このような農産物をあなたはどう思われますか?

農産物の安全性は置き去りにされないか!

農業で生産性や効率性をもとめ過ぎた結果、環境汚染や残留農薬などによる人間への被害が見られるようになりました。

その反省があって、慣行農業を見直し有機農業が注目を浴びるようになりました。

安全な農畜産物は、効率性や生産性とは離れたところにあって、決して同じ土俵に乗ることはないのです

スマート農業化で私が懸念しているのは、作業効率や生産性ばかり追求されて、肝心の農産物の安全性は置き去りにされないか?ということです

例えば、農薬の散布について。

基本的に、農家も農薬散布は自身でしたくないと思っています。

散布する自分自身も危険だし、口にする消費者にとってもよくないと認識しているからです。

農家が農薬についてどのように思っているかは、「危険な農薬をなぜ使う必要があるの?畑で考える農薬のお話」で紹介しているのでご参考下さい。

スマート農業化でロボットが農薬を散布するようになったから、農家は農薬を浴びなくてよくなったし散布する罪悪感もなくなった

このように、有機農業者から考えればあり得ない恐ろしい可能性を、スマート農業は秘めていると思うのです。

まとめ

スマート農業に批判的なことばかり書いてきましたが、勿論、賛成している農家も少なからずいることは事実です。

 

ただ、周りの農家を見ていると皆さん、私と同じく冷めた目でスマート農業を見ているような気がします。

 

 

 

農家は季節を肌で感じながら、ロボットでは感じ取ることの難しい嗅覚・聴覚などの五感をフルに働かせながら農場に立っています。

 

そこには、嬉しさや悲しさなど様々な感情や人間関係が複雑に絡み合い、決して他産業の方は味わうことのない面白さがあります

 

 

 

だから農家は毎年、種をまき収穫することを繰り返すことができるのです。

スマート農業、あなたはどう思われますか・・・・

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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