
✔本記事の想定読者
・有機JAS認証の取得を考えているけど、何から手を付けていいか分からない
・初めて有機JASを申請するけど、今の自分に申請できる資格はあるのだろうか?
この記事は、上記のような疑問や不安を抱いている、初めて有機JAS申請をする方向けの記事です。
✔本記事の内容
この記事では、以下のようなことが書かれています。
・【初めての有機JAS申請】失敗回避のための5つの重要な確認事項

・初めてでも規格や基準を満たしていれば誰でも申請OK

✔本記事の信頼性
この記事を書いている僕は、脱サラ後、研修等なしで全くのゼロから農業を始め、有機JAS認証を取得した農家です。
そんな僕が書く記事なので、信頼性は高いと思います。
【初めての有機JAS申請】失敗回避のための5つの重要な確認事項

あなたが有機JAS認証取得で失敗しないためには、まず、本記事で解説する5つを確認することが重要です。
なぜなら、失敗は申請する段階で既に決まっているからです。
どんなに頑張って申請の準備をしても、以下の5つを確認せず放置しておけばどこかでつまずきます。
・【確認事項1】有機JASを申請する理由は?
ところで、あなたはなぜ、有機JAS認証を取得しようと思ったのですか?実は、この理由が大事だったりします。
なぜなら、理由が不純だと有機JASの管理下で、農業するのがバカらしくなるからです。
⇒有機JAS認証を取得する目的の明確化
結論から言えば、有機JAS認証を取得してJASマークを自分の作った農産物に貼っても、売れるようにはなりません。
これ、僕が体験しているので本当の話です。
・周りが有機JAS認証の取得を勧めるから
・農産物に付加価値が付き、高い値段で売れそうだから
なので、もしあなたが上記のような理由で認証取得を考えているなら、もう一度、取得の目的を考え直した方がいいと思います。
⇒目的がないと厳しいJAS規格に耐えられない
なぜ、僕がこのようなことを言うのかは、以下の記事にまとめています。
>>【体験談】農家が有機JASを取得するメリットとデメリット
有機JASの申請をして認証取得するメリットより、デメリットの方が明らかに多いです。
・今後、化学肥料や農薬を使用できないことによる不安
・膨大な資料作成と日々の記録管理
・取得後に毎年行われる年次検査
JAS法に基づく農業を行うため、一般の農家とは違って明らかに苦労が多くなります。
せっかく取得した有機JAS認証でも、このような理由で多くの農家が挫折していきます。
・【確認事項2】ほ場条件はJAS規格を満たしている?
「農薬や化学肥料を使わなければOK」ではありません。
実は、申請できるほ場と、できないほ場があるので知っておいて下さい。
⇒有機JASの申請様式でも確認されるほ場条件
例えば、僕が認証を受けている団体※では、申請書類の中に以下のような様式があります。
※認証を受ける団体は、全国にたくさんあってあなた自身が自由に選ぶことができます。
参考:【要注意】有機JAS認証の取得費用は認証機関で違う【小規模農家向け】

ちょっと見ずらいかもしれないので、一部、抜粋します。
●隣が慣行ほ場の場合、汚染対策として1m以上緩衝距離があること。
●航空防除を実施しているほ場とは、有人ヘリの場合100m以上、無人ヘリの場合6m以上緩衝距離があること。
要するに、有機JASでは、周辺にあるほ場からの農薬等の飛散や混入につても基準が定められているのです。
⇒自分だけ有機ではNG【周りの農家は大丈夫?】
結論、あなたがどれだけ頑張っても、周辺のほ場条件によっては、有機JAS認証を取得できない場合もあります。
なので、自身がほ場を有機的な管理をすることはもちろん、以下のことも確認しておいた方がいいです。
・あなたのほ場周辺の作物や農薬散布の状況は?
・周辺で使われている農薬は、JASで禁止されていないか?
・そのほ場とあなたのほ場で防風ネットや生垣の設置など、対策を立てることができるか?
・水田の場合は、慣行ほ場の排水口と有機ほ場(あなた)の取水口が同一でないか?
・周辺の農家は、あなたのほ場に農薬が飛ばないように協力してくれるか?
このように、有機JAS認証の取得は、あなたの力だけではどうにもならないことがあります。
・【確認事項3】有機的な管理をした期間はどのくらい?
有機JASの申請は、あなたがほ場で有機的な管理を始めた期間で2パターンの申請があります。
⇒2年以上前であれば「有機」で申請
有機栽培を開始(転換開始)してから、最初の播種や植え付けまでに2年以上経過している場合は「有機ほ場」として申請できます。
例えば、今年秋に出荷する野菜の場合は、定植の2年以上前に有機栽培に転換しておく必要があります。
※果樹や茶などの永年作物は最初の収穫までに3年以上です。
⇒1年以上であれば「転換期間中有機」で申請
有機栽培を開始(転換開始)してから、最初の播種や植え付けまでに1年以上経過している場合は「転換期間中有機」として申請できます。
こちらは、知らない方が多いみたいですね。
要は、有機(オーガニック)と呼べる条件は満たしているけど、法律上の完全な有機(オーガニック)と呼ぶにはまだ年数が足りない有機という意味ですね。
有機JASマークは以下のように「転換期間中有機」という文字を明記することが決まっています。

このように、申請のスタイルは、「有機」か「転換期間中有機」の2種類ありますが、有機的に管理をした期間が2年か1年かの違いです。
いずれの場合も、その期間の栽培記録は録っておく必要があります。
どちらでも申請はできますし、提出書類や審査も全く同じです。
・【確認事項4】有機JASに転換して収量落ちるけど大丈夫?
有機JAS認証を目指す訳ですから、当然、今まで使用していた化学農薬や化学肥料は使用できなくなります。
ここが一番重要で、あなたが収穫量の減少にどれくらい耐えることができるかがポイントです。
これは真面目に有機農業に取り組む、有機JAS認証農家であれば避けては通れません。僕も、経験しましたが、超しんどいです。
参考:脱サラで有機農業は成功するのか【リアルな経験者のアドバイス】
⇒いきなり全てを有機JAS対応ほ場にするのは危険
僕がオススメするのは、いきなり全てを有機JAS認証ほ場にするのではなく、数年間、一部のほ場で実験してみることです。
有機JASでも使用できる肥料や農薬が一部あります。それに切り替えて数年栽培してみて収穫量はどうなるのか?
あるいは、無肥料で栽培してみて収穫量はどうなるのか?
など、有機JAS認証を申請前に、数年間実験してデータを取っておけば取得後に慌てることがないと思います。
・【確認事項5】有機JAS認証取得後の販売戦略は?
重要なのでもう一度言います。
「有機JAS認証を取得すれば、付加価値が付いて農産物が高く売れるようになる」
は、都合のいい妄想です。
僕の経験上から言えますが、有機JAS認証を取得するだけでは、今までと全く状況は変わらないばかりか、高い値付けによってむしろお客様は離れてしまいます。
どんなに、有機栽培で安全な野菜を作っても、どんなに手間ひまかけて苦労して作っても、それがお客様に伝わらなければ認証取得は全く意味がありません。
大事なのは、認証で価値を高めることでなく、有機栽培で上手に野菜を作る技術でなく、どのように自分のお客様を集めるか(集客)です。
有機JASの申請をするにあたり、以下のことを考えておきましょう。
・あなたは、誰に自分の有機農産物を売ろうとしているのか?
・どのようにあなたの農産物の販売していくのか?
・どのようにあなたの有機農産物を知ってもらうのか?
・有機JASマークを貼る以外で、お客様に一番訴えたいPRポイントや購入してもらうための導線作りは?
初めてでも規格や基準を満たしていれば誰でも申請OK

有機JASでは、ここまで書いてきたことを確認して、基準や規格さえ満たしていれば、誰でも申請できます。
僕自身、
✓6a程度の家庭菜園級の面積
✓レストランを経営し、がっつり専業農家ではない
✓法人でなく個人の零細農家
上記のような状態でも、申請して無事に有機JAS認証を取得することができました。
どのような手順で認証を取得すればいいのかを、以下の記事で徹底解説しています。
本気で有機JASの取得を考えている方は是非、ご覧ください。
>>【完全ロードマップ】有機JAS認証の取り方:農家が手順を徹底解説
まとめ:申請に失敗しても次に頑張ればいい

ここまで偉そうなことを書いてきましたが、全て僕の経験(中には失敗も多い)から書いているものです。
僕の最大の失敗は、有機JASの申請書類を提出した年に、書類審査で不合格になってしまったことです。
参考:有機JAS認証取得は難しい!【不合格した】僕が語る失敗しない方法
僕のような失敗を他の方にして欲しくないので、有機JAS取得関係の記事を書いています。
僕は申請書類の審査が不合格になった翌年、無事に有機JAS認証を取得できました。
諦めずに頑張れば、必ず有機JAS認証は取得はできます。
あなたの挑戦を、このブログで応援しています。頑張って下さい。